働きやすいプロジェクト環境のために
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〜群群力(ぐんぐんりょく)アップのすすめ〜

行者大蒜(ぎょうじゃにんにく:ペンネーム):1月号

 筆者は先日、アメリカで行われたシンポジウムに参加してきました。そこでは、日本人と欧米人の違いを、否応なしに感じました。悩んだ結果、何も卑屈になる必要はない、日本人のもともと持っている文化や気質を生かしていけばいいのだと思いました。今回のメッセージは、「日本人らしく、群れを作ってがんばろう」です。

  塊になりたがる日本人

 筆者がシンポジウムの休憩時間に日本から来た参加者同士で雑談をしていたところ、欧米の方から「日本人は、よくグループになりたがるね。」と言われました。すこしぎょっとしました。彼は「海外に来たのだから、いろいろな人と交流して勉強して言って下さい。」とアドバイスのつもりで言っただけと思うのですが、たしかにそのとおりでした。
 そこで2つのことを考えました。1つめは「個人の成功を意識する欧米流の強さ」です。彼らは、ひとりひとりが自分の成功のために、自己主張しつついろいろな人と交流しようという意欲に燃えているのでしょう。そういうモードなら、たしかに得るものも大きいでしょう。2つめは「日本人の集団を意識する強さ」です。これは、国の特色が現れていると思います。多民族国家であり個々が主張しなければ個人の存在感が薄れる欧米文化と、島国であるためかグループを意識して成果を出そうとする日本文化の違いがあるのかもしれません。
 日本人はグループで力を発揮して、多くの成功を残してきました。グループの力を強くするには、個人のモティベーションが高くないと難しいと思います。このことは逆も真といえます。つまり、個人のモティベーションを上げることが、グループ力を強くする秘訣です。

 成功体験を積ませるためのプロローグ

 個人のモティベーションを上げるためには、「成功体験を積ませる」ことが必須と言われます。でも、その最初の成功を経験させることはとても難しいのです。誰もが失敗は怖いし、未経験なことにはあえて挑戦したくないし、未経験の人に仕事を任せる側も気が進まないこともあるでしょう。「仕事は上司や先輩から指示されてするもの」と言うメンタリティの人も多いです。ただ、指示されて言われたとおりに行う仕事は誰しも面白くはないはずです。
 一方、個人で事業を起こした人はどうでしょうか。個人事業主は、自分が企業の中で何をすべきか、それによって何が変わり業績がどうよくなるかを意識して行動するはずです。そういう人は、仕事が面白いと思う瞬間は多いのではないでしょうか。たとえば、「魚釣りに行って来い」と言われて行った魚釣りと、「釣りに行きたい」と思って行った魚釣りの違いにも似ているでしょう。

 若手には一線を越えさせろ

 面白さの違いは、他人にやれと言われた仕事か、自分で考えた仕事かの違いではないでしょうか。その差は歴然としています。ただ、会社の中で自分が考えた仕事ばかりをできるとよいのですが、そうなるまでに何年もかかります。ある程度のポジションにいなければ、できる範囲は少ないでしょう。
 しかし、指示されてする仕事にも、面白みを見出すこともできるはずです。指示された仕事の中に自分で習得すべき目標を決め、それを早く習得することを心がけるのです。あるレベルになれば、自分の判断で進めることができる一線が見えるはずです。そこをいかに早く超えるかがポイントだと思います。辛い経験があって、かつ小さな経験の成功があったところでの爽快感が、そこを越えるためのジェットエンジンになるのです。先輩は、後輩にその境界を早く越えさせることが、その役割のひとつであると思います。そのためには、後輩をすこし難しい体験に仕向けることが重要だと思います。

 上司の背中が物を言う

 若手についてばかり言ってきましたが、上司や先輩が部下のモティベーションを上げるために注意しなければならない点もあります。それは、部下は上司の背中を見ているということです。筆者は、若手に面談をすることがあります。仕事の希望を聞くと「出世がしたい」という人が、最近少なくなりました。その理由を尋ねると、「先輩たちを見ていると、昇格してもあんなに仕事が大変なら昇格したくないです。自分の好きなことをして気楽に過ごし、何とかやっていけばそれでいいです。」と言うのです。
 これは、若手のメンタリティだけが悪いわけではなく、私たち上司が夢を見せていない責任もあると考えます。いくら給料が高くても、いつも肩を落として暗い顔をしている上司を目の前にしては、若手は夢を追えないでしょう。上司は楽しそうに仕事をこなし、部下に夢を見させることも仕事のうちとわきまえましょう。そう、上司には、夢想力が必要なのです。

 群れたがって群群力を高めましょう

 会社とは部署の集まり、部署とは社員の集まりでありグループです。管理職とは、その部署をリードする役割の人です。部下とは、部署に所属する人を指しています。
 若手の「一線超え力」、先輩の「仕向け力」、上司の「夢想力」が強い部署が、個人のモチベーションアップを上げるよい部署であり、そんな部署のグループ力がグングン上がるものです。それが真に楽しい職場であるといえると思います。
 群れたがる日本人、もっともっと群れたがって、群群力(ぐんぐんりょく)を高めましょう。


 編集者コーナー
 このコーナーの編集担当二人が語ります。
花水木(はなみずき、以下「は」)「なるほど〜、“ぐんぐん力”ねぇ。女性はよく群れるって、よくないイメージで言われることが多いけど、グングンパワーを出すために、群れてわーわー話すってのはアリだよね。」
木犀草(もくせいそう、以下「も」)「そうやねー、私たちも群れては、やりたいこととか夢とか、延々と話し続けてること多いよね。笑。それにしても、行者大蒜さんは、クールな感じで群れるということとは遠い感じがしてたけど、意外やわぁ。」
は:「けっこうみんな“まとまりたい”っていう欲求を持っているのかもよ?」
も:「そうやね、群れを作るのは女子の特権かと思ってたけど、そうでもないってことね。」
は:「ところで新年です!」
も:「突然やねー。笑。あけおめ、コトヨロですね!」
は:「新年と言えば、バーゲンです!」
も:「あ、そっちなの?」
は:「そうなの、バーゲンでちょい安物のニット買って着たら、さっそく毛玉ができてしまった。毛玉ってどうしてできるんだろう???」
も:「繊維の表面が“まとまる”からではないの?・・・みんな、まとまりたがるってことで。」
は:「お!キレイにまとめてくれてありがとう!今年もこんな二人で編集していきますので、どうぞよろしくお願いします!」


 筆者:行者大蒜(ぎょうじゃにんにく:ペンネーム)
PS研究会メンバー。横浜のソフトウェア開発会社に所属、副事業部長を務めている。開発現場と顧客の間を行った来たり。PS研究会で自身のPS向上も含めて活動しています。
 編集チーム:花水木(はなみずき:ペンネーム)
PS研究会メンバーで本業はIT企業の技術職。現在は、教育企画部門に所属し、現場に役立つ研修を試行錯誤している。長年プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求中。花水木の花言葉は「私の思いを受けてください」と「華やかな恋」。当コラムの編集長。
 編集チーム:木犀草(もくせいそう:ペンネーム)
関西弁バリバリのPS研究会メンバー。キャリア形成をメインテーマに研究活動中。業務では人材育成企画と並行してPMOで現場を走り回ってます。木犀草の花言葉は「陽気、快活」。プロジェクトをサポートする木犀草になりたいな。当コラムの副編集長。
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Partner Satisfaction PS研究会について:PS研究会は、財団法人日本科学技術連盟のソフトウェア生産管理(SPC:Software Production Control)研究会のひとつで、2002年から動機付け(モティベーション)に関する研究を続けています。2003年から、PMAJ(旧:JPMF)のIT-SIGのひとつ「パートナー満足と人材活用(PS&HM)ワーキンググループ」としても活動しています。詳しい紹介はこの連載の第1回目をご覧ください。
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第27回目2008年11月号  〜働きやすい環境を実現するためにPSができること〜(松ぼっくり)
第26回目2008年10月号  〜途中参入者が教えて欲しいこと〜(木犀草)
第25回目2008年9月号  〜働きやすいプロジェクト環境のためのDon't〜(花水木)
第24回目2008年8月号  〜フリーライダーにご用心〜(銀杏)
第23回目2008年7月号  〜暗黙のルール〜(花水木)
第22回目2008年6月号  〜ご機嫌ですか?〜(木犀草)
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第13回目2007年9月号  〜「へぇ〜!」から始めるチームづくり〜(ねこやなぎ)
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第11回目2007年7月号  〜ビジョンとメンバーの関係は?〜(楠木)
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第8回目2007年4月号  〜モティベーションをコントロールしよう〜(向日葵)
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第5回目2007年1月号  〜うまくほめて正しく叱る〜(花水木)
第4回目2006年12月号  〜挨拶は“安全な仲間”のシルシ〜(木犀草)
第3回目2006年11月号  〜プロジェクトチームにおける新人の居場所〜(菜の花)
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