例会部会
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第179回例会報告

例会部会 増澤 一英 (masuzawa kazuhide): 12月号

 今回は、10月25日に開催されたPMAJ第179回例会のレポートです。
 当日は、あわや大雨に遭遇か、という天候でしたが、大勢の参加者に恵まれ、質疑応答も熱気にあふれた盛会になりました。

【PMAJ第179回例会】
開催日時: 2013年10月25日(金) 19:00~20:30
テーマ: 「なぜ、失敗から学べないのか ~成長する組織の作り方~」
講師: 株式会社ティオス 代表取締役 落合敏明氏

はじめに、講師である落合氏の経歴を紹介します。落合氏は、多くのプロジェクトでのPMの経験を活かし、コンサルティング業務で独立され現在の株式会社ティオスを創設されました。プロジェクトマネジメントやナレッジマネジメントもありますが、主に人材教育、組織強化を目的とするコンサルティングで製造業やITベンダーの大手顧客を中心に多くの実績を重ねてきました。現場に入って、結果を出すためのコンサルティング活動で第一線に立っていらっしゃいます。(社)全日本能率連盟認定マスターマネジメントコンサルタント、ICMCI認定コンサルタントで、「研修が教えないビジネス能力の磨き方(日刊工業新聞社)」などの著書があります。

 落合氏は経歴を含めた自己紹介からはじめ、当初携わった仕事、すなわちプロジェクト改善業務(火消し業務)を遂行している中で感じたことについて言及しました。「同じ失敗を何度も繰り返している」「失敗から学べていない」「失敗を活かしていない」ということです。

 なぜ失敗から学べないのか? メンバーひとりひとりの現実の具体的行動にプロセスや知識が活かされなければ、当然結果には結びつきません。では、どうすれば失敗から学べるのか?というのが今回伺ったお話でした。

 失敗は活かされていない
 プロジェクトが終わった後は通常反省会を開催します。普段の反省会を覗いてみると、アカデミックに失敗の原因を分析し、対策を決め、上司受けのレポートを作成しておしまい、というのが普通のようです。レポートのプロジェクト名を変えるだけで他でも成り立つような、普遍的なもの。こういう活動はレポートを書いた時点で終わり、問題の本質をつかめず、失敗を活かすことは不可能でしょう。(反省レポート例、事例分析例をもって説明されました)

 原因分析
 世の中のほとんどの原因分析は真因分析に止まります。
 しかし、真因分析だけでは、改善につながりません。
 真因には主語がありません。主語のない真因からは主語のない改善策が生まれます。
 主語のない改善策は基本的に他人事、誰も実行しません。
 現実の行動に結び付かない段階のものを分析と呼びます。

 現実の行動に結び付くものを教訓と呼びます。
 改善活動の中では、真因に主語をつける(現実原因)作業をします。
 Who(誰が)+When(いつ)を伴ってはじめて原因が特定でき教訓として残ります。

 考え抜く(原因追究と責任追及)
 反省会等を実施する時に、よく原因追究と責任追及が混ざってしまいますが、改善活動を行う上で、原因追究だけに絞る必要があります。
 責任追及の要素がほんの少しでも入った時点で、改善活動は破たんしてしまいます。

 失敗から学ぶには
 最後に、落合氏は失敗から学ぶには、『ゴールと現実のギャップから、問題を正しく認識する』、『考え抜いて改善策を考える』、そして、『その改善策に沿って行動し抜いて、結果を出す』という3ステップを徹底的に実行すれば、必ず、失敗から学ぶことができると結ばれました。

 落合氏のお話を聞いた後で、実際に自分や自分の周りにあてはめて思い起してみると、落合氏の指摘されるような、見栄えのいい形でまとめられているレポートやフィードバックがとても多いのに気づかされました。失敗とは何か、そして、自分を振り返って考え抜くとどういう真因が見つけられるのか、この、『考え抜く』ということを、日常業務の中で、早速、実践に移してみようと思います。


 最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
以上

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