P2M研究会
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地方自治体におけるP2M実践事例報告に向けて

東京P2M研究会 近藤 芳宏 [プロフィール] :5月号

 私は、地方自治にかかわる立場にあるものとして、P2Mの実践事例を報告出来る機会があればとの思いで、東京P2M研究会に参加させて頂いておりますが、今回は、現在迄の取り組みについて簡単に概要のみ紹介致します。

 私は、現在、埼玉県川越市で市議会議員をさせていただき、本年4月に、まる6年となりました。初当選した平成19年4月、51歳での転身でしたが、議員活動のスタートにあたり、P2Mの発想をバックボーンあるいは、基軸として、ミッション(使命)を明確にし、3つの挑戦プログラムを開始しました。


 創造すべき顧客(市民)価値をいかに適切に定義するのか?そして、その顧客(市民)価値はいかなる方途により実現を目指すのか?これらが、プログラムマネジメントの根幹となり、具体的にP2Mでは、プログラムマネジメントはプログラム統合マネジメントとこれを効果的に実行する場であるコミュニティのマネジメントが中心であるとしております。
 人口約35万人、一般会計規模約1,000億円、年間約600万人の観光客が訪れる埼玉県唯一の中核市・川越市のあるべき将来都市像とは何か。私は、当時、現場のありのままの姿が見えない中で、机上知識ではありましたが、川越市全体を俯瞰しつつ、私が受け持つ高階地域を踏まえ、これまでの民間経験(銀行17年、IT関連11年)の知見を生かし、ミッション(使命)を『調和と共生の地域づくり』に定めました。
 1期4年間で、挑戦する3つのプログラムとして、第1に、川越市をリードするモデル地域『活力溢れるいきいき高階』の実現、第2に、社会総がかりの教育・子育て支援、第3に、自治体経営の透明性向上と健全化と致しました。その後、プラスワンとして、平成20年度から幸(高)歳化社会の実現と医療費適正化を加えて、取り組みました。
 平成23年5月、2期目のスタートにあたり、川越の新時代を創造するとの熱き思いを秘め、ミッションである『調和と共生の地域づくり』を実現する為に、プロファイリングマネジメントによる洞察力から、私が取り組む5つの重点推進テーマを絞り、実行段階の統合マネジメントに展開しました。

≪5つの重点推進テーマ≫
【経済・雇用】 活力溢れる元気な地域づくり
    挑戦する中小企業、元気な商店街、雇用が増える地域づくり
    新河岸駅周辺整備と高階まちづくり
    都市農業によるまちづくり
    歴史文化を生かしたまちづくり
【教育・健康】 文化・スポーツによる人づくり
    地域の教育力向上のしくみづくり
    生涯スポーツで健康・体力づくり
【社会保障】 孤立させない、支え合う地域社会
    高齢者が安心して生活できるまちづくり
    子育てや障害者にやさしいまちづくり
【行財政改革】 自治体経営の健全な都市づくり
    縦割り行政の弊害を打破するしくみづくり
    財政裏付けのある基本計画(5年)の策定
【議会改革】 住民自治を強化する仕組みづくり
    議会基本条例の制定と議会の「見える化」
    住民が議論に参加できる場づくり

 今後は、東京P2M研究会を通じて、地方自治体におけるP2Mによる価値創造の先駆的な実践事例を報告してまいります。

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