P2M研究会
先号   次号

求められる人材と人材育成について

梶原 定 [プロフィール] :5月号

今日、企業の中で最も重要な経営資源と言えば、「何か」、それは間違いなく「人材」に他なりません。
企業は、企業の理念をかかげ、企業の持つビジョン実現に向け様々な対応をしています。 一方で、ビジョンを達成するプロセスにおいて、企業は、様々な困難に直面しています。 これらの困難を乗り越え、目的を達成するためには、強い意志と行動力を持った人材が求められています。人材育成は、大企業のみならず、中小企業にとっても、企業の生産性向上のためには、避けて通れないテーマであり求められる人材とその人材育成の課題について考察してみます。

従来の人材育成といえば、高度な理論のもと、様々な手法が考えだされ、そのたびごとに多くの場合、企業に導入され、 これらの手法を、導入すれば、分かりやすく、誰にでも実践できると思われてきました。 ところが「人材」をテーマにした問題の場合、正解と言える手法がなく、状況に応じて、ケースバイケースでの対応になってしまっているのです。このような状況では、どんなに数多くの手法を、身につけたとしても、期待する成果を上げることは難しいでしょう。
  つまり人材育成が、状況対応的な手法になってしまっているのです。
では、どうすればいいのでしょうか? 人材育成の意味とは何か? を企業内の問題としてではなく、「人」と「人」との関係において、人材育成を、捉える必要があるのではないでしょうか?

人材育成の目的を、社会人として、人間として成長させることで、その結果として、企業の生産性がアップするようになるとの考え方が必要なのです。  人が育つということは、単に知識や実践による経験が増えていくという事ではなく、知識や経験を活かして、社会に新たな価値創造と感動を与えること、いかえると、社会にとって必要な存在になるという事と考えます。 このような考えを持つ人材に満たされた企業は、社会になくてはならない存在になり、企業の社会的存在価値は、このような人材が創りだすことになります。 つまり、そこにいる人材が創りだす以外にありません。
社会貢献ができる人材が成長できて、はじめて、企業も成長することができます。 その視点で見ると、人材育成とは、企業の中だけで認められるような企業人ではなく、社会で認められる社会人を育成することではないでしょうか?

人がなかなか育たない原因はなにか? どうすれば人材育成ができるのか? 人材育成のポイントは、 それは、育てようとするサイド(側)にあると考える必要があります。 つまり、相手(部下や上司やお客様など)のせいにしても、何ら解決することにはなりません。 相手がどうかではなく、すべて自分がどのような考え方・姿勢のもとで、どのような行動をとるかが、大切な時代になっているのではないでしょうか? 相手は、自分の鏡です。 相手の反応をみると、自分のレベルが分かります。 この問題は、人間関係の原則、「他人を変えたければ、自分を変えれば良い」と言うこと。 そうです「自分を変える」と言うことなのです。 この原則に気づくと、人材育成の問題は、解決できることになります。
相手に合わせて接し方を変えるのではなく、相手の反応によって、自分自身を反省し、自分の考え方、姿勢を変える事が必要となります。 相手が、自分自身の期待する行動をしていないとするならば、相手を分析し、自分自身の姿勢を分析することです。 人材の育成のためには、相手のまえで、自分がどういう考え方・姿勢で生きているかということになります。 つまり、自分がまず、本気で見本となる行動をすることです。 そうすることで、信頼され、尊敬されて、はじめて相手は、こちらの話を聞き、自らを成長させていくことになります。
 
人は、自分の力で成長しようとしない限り、成長することはできないのです。 つまり、人材育成とは、いかに自立型人材(「いかなる環境条件の中においても、自らの能力と可能性を最大限に発揮して、道を切り開いていこうとする姿勢を持った人材」福島正伸さんの「共感と信頼の人材育成術」の本から引用)を育成するということになります。

P2Mが目指している使命達成型職業人とはまさに、厳しいビジネス環境にあって、現代の問題や課題の解決に挑戦する、自立型人材であり、企業が、強い企業に成長するためには個人一人一人が、「体系的知識」、「実践経験」、「自立型姿勢・考え方・倫理感」の3つの要件に加えて継続的学習・投資を満たし、人材を育成していくことが真に強い企業になるためには不可欠ではないかと考えます。
ページトップに戻る