図書紹介
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「16歳の教科書」(ドラゴン桜公式副読本)
(7人の特別講義プロジェクト&モーニング編集部著、講談社発行、2008年11月4日、第17刷、223ページ、780円+税)

デニマルさん:7月号

今回の本は、副題にもある通り「ドラゴン桜の副読本」である。ドラゴン桜は、以前「ドラゴン桜・完結編」(三田紀房著、2007年10月号)で紹介した。これは漫画であるが、受験のことだけでなく子育て論から人生哲学に及ぶ幅広い内容であった。その著者が、特別チームを編成して科目とに「なぜ学び、何を学ぶか」を纏めている。その先生方は、受験勉強の達人というより、人生の哲人である。例えば、金田一秀穂氏(国語)は、「言葉とは覚えるものではなく、考えるもの」として、身近な単語を言葉として説明するための考えるツールであると説く。鍵本聡氏(数学)は「数学力は、真実を見抜く力だ」と、真実には壁があり、それを乗り越える論理的思考と最後までやり遂げる意志と気迫が必要であると語っている等々。これらは受験生だけでなく、大人が読んでも勉強になる内容である。

なぜ16歳なのか   ―― 16歳の意味すること ――
この本での16歳とは、高校生が大学受験する前提で書いている。16歳の社会的ポジションは、子供ではないが大人でもない。しかしこの時期までに、人間としての基本的な物の見方や考え方が出来上がる。その根幹となるのが「集中力」と「バランス感覚」である。受験勉強には、目標大学を目指して勉強する「集中力」が求められる。この時期を絶好のチャンスと捉えて勉強に励む必要があると書いている。受験を修行と考えられる年頃である。

どうして学ぶのか  ―― 学ぶということ ――
義務教育を終えて高校に入学し、更に大学に進学するのは、何故なのかと言う単純な疑問がある。高校進学率は97.5%、大学進学率は49.9%である。殆どの人は高校に行き、二人に一人が大学に進学する。その理由は「周りの人が皆行くから」「就職に有利だから」等々、全て親や周りの意見に従っているだけである。本当の自分の意志はどうなのであろうか。16歳の今だから、『学ぶ理由』を考える意味がある。高3になってからでは、遅すぎるのだ。

何を学ぶのか  ―― 自分の価値を創造すること ――
16歳が学校で学ぶことは、教科書が中心となる。そして受験は、科目範囲内の勉強である。しかし学ぶことは、科目内容を理解し覚えるだけはない。学ぶ課程で、考える力を養うという本来の重要なプロセスがある。学校での知識をいくら詰め込んでも知識以上の価値は生れない。その知識から自分の考えや視点を入れた新たな創造をして、知識が知恵となり価値が生じる。だから何を学ぶかは、自分の価値を知り創造することであると書いている。

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