図書紹介
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のうだま    ―― やる気の秘密 ――
(上大岡トメ & 池谷祐二著著、幻冬社発行、2008年12月10日、第1刷、159ページ、1,200円+税)

デニマルさん:2月号

今、本屋を覗くとベストセラーコーナーに次いで「脳」に関する本が目につく。ここ数年テレビでもゲームでも、「脳トレーニング」がブームとなっている。人間、誰しも頭が良くなりたいという願望がある。しかし生れ持った能力とか努力差もあって、思うように働かないことが多い。最近、アルツハイマー病や統合失調症が脳の機能障害であることが分かってきた。しかし、脳は人間の思考と行動の指令塔として機能しているが、未だ解明されたいない未知の分野である。今回の本は、その脳が果たす「ヤル気」をコントロールしているメカニズムの話である。それをマンガで難しい脳を分かり易く解明している。上大岡トメ氏は、以前「キッパリ」(2004年12月)で紹介した。それと池谷祐二氏(脳研究者、専門は「脳の可塑性:思うように作れる」)が、学術的、理論的バックアップをしている。

「のうだま」とは?   ―― 脳の法則「続けるコツ」のポイント ――
「のうだま」とは脳玉であり、人間には「淡蒼球」という青い玉があると紹介している。この脳玉がヤル気に関係しているという。稽古事や日記等を途中で止めてしまうことは、多くの人が経験している。しかし、続けている人もいる。その差は何であろうか。それは脳玉の差であると指摘している。この脳玉は自分の意志ではコントロール出来ないので、それを活性化させる準備が必要である。その過程で脳の「継続集中」が可能になるという。

脳にはスイッチがある?  ―― 脳を「ヤル気」にさせるポイント ――
脳玉を働かせる準備とは、脳の始動スイッチをオンにすることである。脳をヤル気にさせるスイッチとは、4つあると書いている。そのどれか1つか全てを働かせることでヤル気が生れる。その4つとは、B.E.R.I.スイッチという。BとはBody(体を動かす)、EとはExperience(いつもと違うことをする)、RとはReward(ごほびを与える)、TとはIdeomotor(なりきる)で、これらを実行する。その結果、脳は満足して「ヤル気」を起すという。

脳は習慣に弱い?  ―― マンネリ打破のポイント ――
先の4つのスイッチは、全て自分自身の体を動かすことで、脳に覚え込ませる工夫である。所謂、習慣化して脳をだますのだと書いている。人間の脳は、「続ける」過程で、「面倒くさい」という意識が消えて『習慣の輪』が自然に形成される。「面倒くさい」という意識を捨て去るために、気分転換をさせることが必要である。途中で、自分にごほうびを与えたり、いつもと違うこと(場所を変える等)をして楽しむ工夫が習慣に繋がると書いている。

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