組織アジリティSIGコーナー
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「PMスキル育成の逆転の発想」

小原 由紀夫 [プロフィール] : 10月号

PMマイスターに認定され、PMスキル育成について質問されることが多い。AIなどの技術の将に日進月歩の変化と様々な要因で刻々と変化するビジネス環境によりプロジェクトの重要性が高まると同時にプロジェクトの成功が困難になっている。そこで、優秀なプロジェクトマネジャー育成が求められているようである。しかし、かねてから取り組まれてきたプロジェクトマネジャー育成ではさらなる変化への対応が困難になってきていると考える。逆転の発想でのPMスキル育成を述べる。

1. プロジェクトマネジャー育成の限界
 プロジェクトマネジャーは経験により育つ点も大きいが、失敗の許容度とプロジェクトマネジャーの権限が小さくなる傾向にある。また、変化が激しくなる環境に対して様々な高度な専門知識を求めることは現実的でないので、高度な専門知識を持つメンバーと協業することが必要となる。ところが、メンバーは専門分野の自己研鑽を求められているので、PMスキルを高めることが難しい。
 つまり、プロジェクトの難度が高まる中で、PMスキル向上が難しいメンバーと協業していけるプロジェクトマネジャー育成は、限界に来ていると考えられる。

2.逆転の発想
 プロジェクトマネジャーはプロジェクトを成功にリードしていくが、プロジェクトマネジャーだけでプロジェクトを成功させることはできない。プロジェクト成功に必要な活動をプロジェクトマネジャーとメンバーが協業していけば、高度な専門知識を持つメンバーから専門的判断を得ることや変化に伴うリスクや課題をより早く認識できる。従って、PMスキルを育成する対象をプロジェクトマネジャーだけとせず、プロジェクトメンバーに広げることが有効である。高度な専門知識を持つメンバーのPMスキルを高めることによりプロジェクトのプロセス群に対して以下のような活動を期待できる。
  • 立上げ: 価値を理解した専門性を活かしたスコープへの提案
  • 計画 : 最適な品質を組み込んだプロセスや専門的視点のリスク識別と対策の提案
  • 実行 : 価値実現に最適な行動
  • 監視・コントロール: 環境変化を感知した専門家としての(攻めの)リスクの識別
  • 終結 : 専門性を反映した教訓品質の組み込み対象
そのために、プロジェクト開始時の1週間を活用する事例がある。
プロジェクトメンバーを招集した第1週に全員が本番プロジェクトを題材としたPMセミナーに参加して共通基盤を構築し、その後、本番計画を全員で立案する。第2週から実作業を開始することができる。タックマンモデルの成立期と騒乱期を1週間で越え、第2週から安定期が始めることを世界500社が実践してきた。

プロジェクト開始時の1週間を活用する事例

3.PMBOK®の原理原則
 PMBOK®第8版の原理原則の「権限付与された文化を構築する」を実現するためにメンバーのPMスキルを向上させることは有効である。

第8版の原理原則の「権限付与された文化を構築する」

 また、デジタルスキル標準(経済産業省)において、共通スキルとしてビジネス変革の変革活動のマネジメントとしてプロジェクトマネジメントが定義されている。(P64)メンバーのPMスキル向上がデジタル時代に必須になることを示している。

PMスキルを実践の中で育成していくためには、経験から学ぶことが有効である。
階層毎に動詞を変えて利益と働きがいの本質を自問自答する「なぜなぜ5回」について10月23日(金)にPMAJ特別企画講座 「実践!なぜなぜ5回(階)」を開催します。
また、PMシンポジウム2026において「B-10 アジャイルをチームから組織へ ~日本の特性を生かす組織アジリティの向上~」を動画配信した。
さらに、PMAJ組織アジリティSIGでは、組織として変化への俊敏性である「組織アジリティ」とDX推進に必須な風土・組織への重要な取り組みを研究しています。ご興味のある方は、一緒に研究しましょう。
~「なぜなぜ5回」についての参考情報~
「実践!なぜなぜ5回」 ~目から鱗が落ちて隠れた原因が見えた~
「失敗を追体験する質問方法」
「『徹底する』対策リスクへの戦略」

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