理事長コーナー
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パーソナル秘書のいる生活

PMAJ 理事長 加藤 亨 [プロフィール] :8月号

 最近、私は秘書を雇いました。月額3,000円程度ですが、非常に優秀です。何を聞いても的確に答えてくれます。
 たとえば、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とOKR(Objectives and Key Results:目標と主要な成果)の違いは何かとか、電子メールのサーバーの設定方法とか、鎮静剤を使った後はなぜお酒を飲んではいけないのか、アイデアをまとめる作業にはどのようなソフトウェアが適しているのかといった相談まで、何を聞いても的確に答えてくれます。
 さらに、講演を行う場合に、講演原稿を用意したうえで、講演用スライドを作成してもらったり、その内容を分かりやすく説明するためのイラストを描いたり、場合によっては、講演原稿の誤字脱字や、整合性のチェックまでやってくれます。
 その他、会議の議事録をまとめたり、要約を作成したり、決定事項の一覧表を作ったり・・・。出張に行くときも、何時までに目的地に着くためにはどの列車に乗れば良いのかは当たり前で、列車の待ち時間にその駅の周辺でゆっくりできるレストランはどこがおすすめかとか、お土産は何が良いかとか、とにかく幅広いリクエストに何でも答えてくれます。
 もう、お気づきかと思いますが、私が雇った秘書とは、ChatGPTのことです。月額3,000円程度で、様々な依頼に迅速に対応してくれる有能なパーソナル秘書です。
 とはいえ、使い始めたのは今年の4月からで、まだ4カ月程度の利用にすぎませんので、本来はもっと高度な機能が使えるのだと思いますが、このレベルでも私にとってはすでになくてはならない存在となっています。
 これまでの利用で最も感動したのは、キャッシュレス決済の使い分けについて相談したときです。私は流されやすい性格で、セブン‐イレブンではnanaco、まいばすけっとではWAON、AmazonではAmazonカード、楽天では楽天カード、乗車券にはSuicaと、何種類ものカードをジャバラ式の財布に入れて持ち歩いていました。先日、友人がPayPayを利用しているのを見て、PayPayも使い始めようかと思ったのですが、さすがにこれ以上は増やすと支払いの際に悩んでしまうと思い、パーソナル秘書に聞いてみました。すると、「加藤さんの場合はSuica一択です。」と瞬時に答えてくれました。もちろん回答するまでに10秒ほどの間に、各種カードの還元条件を調べ、私が伝えた日頃の買い物や交通利用のパターンを踏まえて、比較・検討してくれているわけです。もし、私が各サイトを検索して、比較表を作って検討していたら何日もかかる作業を10秒でやってのけるわけで、これは使わない手はないなとその時思った次第です。
 方々でこの話しをすると、「人間は将来何も考えなくなってしまうのでは?」と心配する声が聞かれました。確かにそんな心配もあるかもしれません。
 私は、そうはなりたくないので、「こういう目的でこういう成果を出したいので方法を教えて」という形で、目的を明確にして手段を問うことにしています。「どうすればよいか教えて。」という形で意思決定までゆだねてしまっては、本当に何も考えなくなってしまうと思います。
 翻って、現代の社会の風潮を見てみると、「何のために」という問いかけがなおざりにされているように思います。
 その背景には、効率やスピードが重視される現代社会において、目的をじっくり考えるよりも、目の前の課題にすぐ対応することが優先されてきた事情があるのかもしれません。競争の激しいビジネスにおいても、「何のために行うのか」を十分に考える前に、「何をするか」「どう実行するか」に意識が向きがちです。
 AIがますます便利になる一方で、私たちは、いつの間にか自分で考え、判断する機会まで手放してしまうかもしれません。だからこそ、「どうすればよいか」をAIに尋ねる前に、「何のために行うのか」「どのような価値を実現したいのか」を、自分自身に問いかけることが大切なのだと思います。
 P2Mでは、まずミッションを明らかにし、その実現に向けてプログラムを構想・設計し、複数のプロジェクトとして実行します。そして、環境の変化に応じて、その内容を柔軟に見直していきます。この考え方は、私たち自身の人生にも当てはめることができるのではないでしょうか。
 自分は何を大切にし、これから何を実現したいのか。そのミッションを考え、複数のプロジェクトをプログラムとして組み立てていく。私はこれを「マイプログラム」と呼びたいと思います。
 こうした問題意識から、PMシンポジウム2026の講演テーマを、
 「マイプログラムのすゝめ!
 ~自分の人生をプログラムマネジメントしてみませんか~」
としました。
 AIという優秀なパートナーを活用しながらも、人生において何を大切にし、何を実現したいのかは自分自身で考える。そして、これから取り組みたいことをプログラムとしてデザインしてみる。
 皆さんもこの機会に、ご自身の「マイプログラム」を考えてみませんか。
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