P2Mを活用した価値創造の広がり(6)
―“人” が価値と構造を動かすプログラムマネジメントとこれから―
PMAJ P2M普及・推進部会 藤澤 正則 : 5月号
2025年12月より、実践されている方々の内容から、「P2Mを活用した価値創造の広がり」として、「活動領域・適用したP2Mの分野・執筆者(または実践者)の視点」、「価値の視点」、「構造の視点」、「人の視点」について、事例分析を行い、連載を進めてきました。
これまでの調査研究を通じて見えてきた結論は明確です。
P2Mは、特別な人のための専門技法ではなく、日々の仕事の中で“守りながら変える”ことに悩む多くの実務者のための実践知であるということです。
P2Mと会社の業務の関係性を下記のように定義します。
会社の定常業務のマネジメントは、現在の価値を生み続ける基盤となっています。
一方、変化(改革・改善・DX・新規事業など)を実現する仕事は、プロジェクトとして実行され、将来の定常業務へと移行・定着していきます。このように、日常業務を止めることなく、複数のプロジェクトを連携させ、価値実現まで回し続け、情報を循環し再生産を行うことで、持続的な価値創造を実現していきます。
今回より、これまで整理した「会社・部門・個人」の3階層に焦点を当て、それぞれがどのように価値を生み、変化を進めるのかを掘り下げます。
【スケジュール(案)】
5月:実践事例
6月:会社レベル(経営・事業構造)
7月:部門レベル(ミドル層・現場)
8月:個人レベル(担当者の価値創造)
1. 「P2Mはどう“使われてきて、どこまで適用されているか」
(2009年:PM管理の深化)
| 分類軸 |
2009年版 活用事例の特徴 |
| 活用の主目的 |
プロジェクト遂行力・品質向上 |
| 中心レベル |
実務層(PM・現場責任者) |
| 主な活用領域 |
IT導入、製造、インフラ、研究開発 |
| プログラムの位置づけ |
複数プロジェクトの束ね |
| 価値の定義 |
納期・コスト・品質 |
| 代表的な活用テーマ |
IT戦略実行・工場建設・医薬品開発 |
| マネジメント視点 |
判断基準・リスク低減 |
| 人材への影響 |
PMの判断力向上 |
| 組織への影響 |
業務の標準化・安定化 |
| 社会との関係 |
間接的 |
| 象徴的キーワード |
「判断基準」「全体最適」 |
出典:PMAJ『P2M活用事例集(2009年版)』をもとに構成
2.「P2Mはどう“使われてきて、どこまで適用されているか」
(2025年:価値の創造)
| 分類軸 |
2025年版 活用事例の特徴 |
| 活用の主目的 |
価値創造・戦略実現・社会的成果 |
| 中心レベル |
活用層+実務層+学問層の融合 |
| 主な活用領域 |
経営戦略、事業変革、ESG、地域・社会 |
| プログラムの位置づけ |
戦略を実現する“価値創造の器” |
| 価値の定義 |
社会価値・顧客価値・将来価値 |
| 代表的な活用テーマ |
- 中小企業の戦略型事業運営
- 統合報告書
- 新規事業創出
|
| マネジメント視点 |
ミッション・シナリオ・意味づけ |
| 人材への影響 |
自律型人材・越境人材の育成 |
| 組織への影響 |
組織変革・学習する組織 |
| 社会との関係 |
直接的(地域・環境・教育) |
| 象徴的キーワード |
「価値」「ミッション」「ストーリー」 |
出典:PMAJ『P2M活用事例集(2025年版)』をもとに構成
3.実務者が語るP2M活用の効果
自己流から「再現性のある成功:多様な業界の事例から」
- ① 四半世紀の蓄積
- 2001年のガイドブック刊行以来、IT・建設から経営計画、地域創生、サステナビリティ経営まで活用範囲が拡大
- ② 「成果の源泉」となる活用例:
- 組織の底上げ: メンバー全員に資格取得を義務付け、「共通言語」を持つことで作業を 効率化し、高い視点を養う
⇒全体最適品質の追求:
- 単なる納期・コスト遵守だけでなく、顧客の事業全体の中での使い勝手=「全体最適品質」をP2Mで実現
⇒不確実性への対応:
- 新規事業創造において、ミッションプロファイリングを活用し、不確実性を受け入れながら価値創出を継続
⇒成果の本質:
- 経験則(自己流)を「仕組み」に変えることで、Before/Afterを数値で示し、次の案件にも応用できる状態をつくる
4. まとめ
P2Mが従来の「特定分野の管理技法」から、不確実な時代における「価値創造の実践知」へと進化した姿を浮き彫りにしました。
キーワード
【価値創造の器】【共通言語】【全体最適品質】【自己流から仕組みへ】【越境人材】
P2Mは、個人の経験則を再現性のある組織の武器に変え、定常業務と変革を橋渡しする役割を担います。単なる手法の習得に留まらず、ミッションを軸に多様なステークホルダーと価値を共創する、すべての実務者のためのガイドラインです。
【ひと言募集】
実務者からの声を募集します
本稿で紹介した内容は、あくまで一例です。本稿を読んで感じたことや、現場での違和感、「ここが腑に落ちた」といった感想を、200字程度でお寄せください。正解はありません。皆様の実践知をぜひ共有してください。頂いた声は、P2M普及・推進部会の活動に反映させていきたいと考えております。
【メンバー募集】
P2Mについて「もっと知ってみたい」「自分の仕事にも活かしてみたい」と感じていただけた方は、ぜひP2M普及・推進部会の活動にもご関心をお寄せください。
現場に根ざした実践知を共有し合う場として、皆様のご参加をお待ちしております。
活動形式や頻度:月1回、WEBでの開催(1時間程度) 参加方法:P2M普及・推進部会に関するお申し込み お問い合わせ先:代表 藤澤 正則 こちらのQRコードからご連絡ください。
参加方法は様々な形での対応も問題ありません。
- ① 毎月フル参加する(アクティブ・メンバー)
月1回のWEBミーティングに定例参加し、その場のリアルタイムな議論を通じて、実務の悩みを共有・解決したい方向け。
- ② 時々参加 + 査読・感想(フレキシブル・メンバー)
都合がついた時だけWEBミーティングに顔を出し、欠席した時はオンラインジャーナルや資料のたたき台に対してメール等でフィードバックを送る形。
- ③ 査読・感想のみ(バーチャル・サポーター)
ミーティングへの参加は難しいが、専門知識を活かして資料の誤字脱字チェックや「わかりやすさ」の感想を非同期で提供する形。
【備考】
本稿で取り上げた内容は、統計的な検証や理論実証を目的としたものではなく、現場で実践してきた個々人の経験に基づく知見を整理したものです。
(出典:PMAJ「P2Mを仕事に活かしている方々の声」2025年9月改訂版)
以上
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