今月のひとこと
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 銀行の勘定系システム 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :5月号

 近所の空き地にスズランの白い花が咲いていました。この空き地には近所の方々が自宅の庭で余った草花を勝手に植えていきます。自宅の庭で持て余すほどに繁殖力が強い花たちなので、毎年決まった時期にきれいな花を咲かせてくれます。スズランも数年前から見かけるようになり、少しずつ増えているような気がします。アヤメの根元に植えられたので、踏みつけられずに済んでいるのかもしれません。空き地の花の世話をしてくれる人がいて、花を楽しめる期間がどんどん長くなっているような気がしています。

 金利が上がり始めて、預金勧誘の広告が少し増えています。新たに預ける資金はないのですが、開設したままほったらかしになっていた口座が残っていたのを思い出したので銀行の窓口に出向きました。銀行では数十年前まで、何とかキャンぺーンと称して新規口座獲得数を競うといったことをやっていましたが、そんな営業活動に協力して開設したまま使っていなかった口座を整理しようと考えたのです。金利上昇に伴い、そんな不毛の営業活動が復活してきたという噂も聞きます。何十年も経って整理するというのはけっこう面倒なことなのでお勧めしませんが、義理があると断り難いでしょうね。
 驚いたのは、そんなばかげた営業活動だけではなく、銀行の窓口用システムも数十年前のままだったということです。編集子が銀行システムの開発に携わっていたのは、20世紀のことです。四半世紀以上経っているので、どんなに進化したのだろうかと楽しみにしていたところもあるのですが、後退した印象でした。20世紀のシステムでは、一連の取引を1回の操作で済ませられるように科目間連動という機能を組み込んでいたはずです。今回ですと、整理対象の口座を解約処理して元金と利息を合算して別の口座に振り込むという処理になります。科目間連動機能だと1回の操作で終わるのですが、解約と振り込みが別の操作になっていたようです。
 編集子なりに科目間連動機能を使わないようにした理由を考えました。銀行窓口で取り扱う商品が増え、レガシーといわれる大型コンピュータ(メインフレーム)で動くシステムでは、新たな商品を既存の商品と同じように動かすようにするための開発負担が大き過ぎるようになったと想像できます。そうなると、あれば便利といった機能は落とした方がいいということになるかもしれません。勝手な想像なので、実態がどうかは分かりませんが、そういった面でも銀行システムは大きな曲がり角に来ているのだと思います。

 そこで、夢想するのですが、次世代の銀行システムではレガシーが担っていた機能の大半を窓口に戻すという発想で設計してはどうかと思うのですがいかがでしょうか。
 元々、コンピュータのない時代は元帳管理も利息計算も全て窓口側でやっていました。コンピュータの登場により、それらをセンターで処理するようになったのですが、それはコンピュータの能力が低かったので集中せざるを得ないという事情があったためです。センターはデータセンターとしての機能だけに絞り、リアルの窓口ではAI機能を搭載したヒト型ロボット(見た目のかわいいネコ型でもいいですね)、ネット経由の窓口ではアバターが対応するという構造を考えてはどうでしょうか。利息計算も科目間連動も全てロボットやアバターがAI機能を駆使して行うのです。個々のロボット・アバターが対応できる商品や機能・性能に差があってもいいという発想に切り替えれば、新商品が出てきたときには、商品仕様を伝えるだけとなり、新商品のためのシステム開発負荷を減らすことができると思います。
以上

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