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「エンタテイメント論」(197)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] :8月号

エンタテイメント論


第 2 部 エンタテイメント論の本質

7 本質
●本稿で中断していた「作曲の解説」の再開
 エンタテイメント論186号(2023年8月25日)まではエンターテインメント論の「本質」に関わる「作曲のやり方」を解説した。此の解説の一環で日本に於ける社長教育、社員教育、リカレント教育などの「教育」が期待した効果を発揮していない事を言及した。と共に教育の効果が発揮しない原因が「日本が抱える深刻な問題」にある事を指摘した。

 此の深刻な問題とは、①日本の人材への投資額の低さ、②社員の賃金の低さ、③生産性の低さ、そして④英語力の低さの事である。これ等の事を齎した根源的原因とは何か? 数号に亘って解説した。

 筆者は根源的原因について更なる分析評価を続けたいと思った。しかし此れ以上続ける事は、本稿の「エンタテイメント論」の「本質」を解説する事から益々乖離する事になると懸念した。

 ついては本号で此の解説を一旦終わらせ、「作曲のやり方」の解説を再開したい。その代わり今後、本論の解説の過程で必要と考えた時は、この問題と原因を再度取り上げたい。

出典:エンタテイメント
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 なお筆者が「作曲の方法」の解説をいつ再開するのか? 長らく待っていてくれた読者に、此の紙面を借りて、詫びたい。そして読者の期待に応えるエンターテインメント論を展開する事を約束する。

●筆者の作曲のやり方
 筆者は本稿186号で、読者に「或る本」が薦める「作曲のやり方」で作曲する事を薦めた。その後、読者はこの薦めで作曲にトライしたか?と尋ねた。しかし残念ながら読者から筆者への返事は無かった。

 いずれにせよ、もしトライして作曲し、作曲した本人がその曲に満足する事が出来たならば、その本が薦めるやり方で作曲を続けて欲しい。もし満足出来なければ、「筆者の作曲のやり方」でトライする事を薦めたいと考えていた。

 筆者は本稿185号で、作曲の「在り方(基本的考え方)」は文章で解説できるが、「やり方(具体的方法論)」は文章で解説できないと述べた。しかしピアノなどの楽器を弾きながら「作曲のやり方」を実演すれば、誰にでも直ぐに理解して貰えると述べた。

 さて「筆者の作曲のやり方」は、体系立った「作曲マニュアルに依る作曲法」ではない。所謂「イメージ作曲法」である。作詞された歌詞を読んで頭に浮かんだ「イメージ」を固定化(紙に書くなど)する。「作曲できそう」と感じた時を「チャンス」と捉え、その場で「イメージ」を頭に再現しながら楽器を弾いて作曲し、生まれた旋律とコード(和声)を楽譜に固定化(採譜)する。

 楽器を弾けないなら、思い浮かんだ旋律を「声」に出して作曲し、採譜する。採譜できない人や採譜できる環境に居ない人(道を歩いている人)は、スマフォなどの録音機能に記録する。この場合、1小節の作曲でも、数小節の作曲でもOKである。兎に角、思い付いた旋律をその都度、忘れない内に記録する事である。「デック思考(夢工学式発想法)」が薦める「アイデアをメモする事」と同じで方法論である。採譜した旋律、録音した旋律を後で繋ぎ合わせ、組み合わせて、更に追加の旋律を作曲して全体的に展開する。自然に求める曲が仕上がる。

出典:唄って作曲 & スマフォで録音
出典:唄って作曲 & スマフォで録音
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●実践無き理論は空虚、理論なき実践は暴挙
 以前、本稿で書いた通り、筆者は子供の頃から何かを頭の中に描くと、不思議な事に曲が幾らでも湧いて来た。此の妙な習性は昔も今も全く変わらない。その為、作曲する事はジャズピアノ演奏をする事よりも好きだし、得意でもある。

 筆者と同じ様に曲が湧いて来る妙な習性を持った人は本稿の読者の中に必ずいると思う。その様な人には「筆者の作曲のやり方」は必要ない。ドシドシ自分流で作曲して欲しい。しかもその様な人はとっくの昔にプロ作曲家になっているだろう。筆者も非音楽業界での本職を持ちながら東京都内の某ジャズライブハウスでジャズピアノを担当し、トリオで演奏し、女性米人歌手の伴奏をしていた時、「或る幸運」がめぐって来た。そのお陰で音楽業界人からも、日本著作権協会(JASRAC)からもプロ作曲家として認められ、作曲した歌にJASRACから音楽著作権を付与される様になった(本稿で以前解説済)。

 「作曲のやり方」に話を戻す。作曲でも、経営・業務でも、如何なる事でも、何かをマスター(習得)するには、理論を学び、学んだ事を実践し、結果を出す事が必須であると言われている。従って作曲に関しても理論と実践のどちらかが欠落すると期待する成果を出せない。「実践無き理論は空虚、理論なき実践は暴挙」の結果を生むからだ。良い作曲を目指す人も、良い経営・業務を目指す人も、理論と実践の両方で頑張って欲しい。

出典:読書する事(理論)&作曲する事(実戦)
出典:読書する事(理論)&作曲する事(実戦)
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 「筆者の作曲の方法」では作曲したい本人が実際に唄ったり、楽器を演奏しながら作曲する現場で実戦指導する。実戦は誤字ではない。実戦場さながらの本番訓練をする意味である。しかし本紙面では其れは不可能。申し訳けないが、「作曲のやり方」の解説も本号で一旦終結させ、本稿の「本質」に関する解説を再開させて欲しい。その代わり、もし今後、読者と対面会合やZOOM会議などの機会があれば、筆者式作曲法を実演し、実施指導する事を約束する。

●ホスピタリティーを重視し、エンタテイメントを軽視する多くの日本人
 エンタテイメント論の「本質」に関する解説を再開する。皮切りに、標記の件を取り上げたい。

 コロナ危機が過ぎた為、以前の様に多くの外国人観光客が来日してきた。彼等の多くは、ホスピタリティーを表徴する日本語の「おもてなし(Omotenashi)」を期待している様である。この事は、以前も、今もTVで報道され、YouTubeでも発信されている。

 「おもてなし」が海外で日本文化の特徴の一つとして評価されている為である。更に彼等は日本の「アニメ」や「マンガ」なども求めて来日している。此の事もTVで報道され、YouTubeで発信されている。アニメやマンガなどは、日本の文化が生んだ世界に誇る「エンタテイメント」の1つである。

 しかし何故か? 多くの日本人はホスピタリティーを重視するが、エンタテイメントを軽視する。人によってはエンタテイメントを見下し、蔑視する。困ったものである。

 筆者は過去に産官学の3分野での実務経験を持ち、現在も3分野の実務を遂行中。特に経営コンサルと云う「お固い仕事」を「本業」としている。しかし本業の合間と隙間でプロ・ジャズ演奏活動とプロ・作曲活動と云う「柔らかい仕事」もしている。筆者はThe Kings Trio+Oneと云う名前で昔から東京都内のジャス・ライブハウスで出演、お客様を喜ばせるエンターテインメントの仕事をしてきた。今後も続ける。

 筆者は「柔らかい仕事」をしている時、未知の人々から軽視、見下しなどを受けた事がある。しかし「固い仕事」をしている時も受けた事があった。その時とは、筆者が米国系ヘッドハント会社の「ラッセル・レイノルズ」からのヘッドハントを受け、新日本製鐵(株)を退職し、(株)セガ・エンタープライゼス(現在のセガ社)に転籍した時であった。

 筆者がセガに転籍した時、それまで筆者と親しく付き合っていた商社マン、銀行マンなどは、筆者が新日鐡を「首」になり、「不良の溜まり場のゲームセンター」を運営するセガ社で働き出したと噂した。筆者は「首」になった訳ではない。自分のやりたい事をやるため、会社に無理を言って取締役の地位を棄てて転籍したのである。

 この噂が瞬く間に広まり、彼等は「手の平を返す」様に筆者の前から次々と姿を消した。エンターテインメントを軽視し、見下す彼等は当然の行動を取ったまでである。

出典:周りの人が去る
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つづく

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