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日本の危機の認識とプロジェクト・マネジメント活用への提言 (23)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 3月号

日本国の乖離する税収と歳出

テーマ1 : 大蔵省の円高政策の実施の理由 (1973、1979、オイルショック)
  第1次オイルショック原油 2$/B→12$、第2次 →40$
当時の日本は円高で燃料原油の値段の倍率の高さに対し、日本の円高が貢献した。
しかし、円高は輸出産業としては不利であったが、日本製品は質の高さが評価され、高値でも売れていた。
大蔵省「ミスター円」榊原英資氏円高信奉者の意見は今でも頑なに円高を望んでいる。

テーマ2 : 製造業世界一(1990年~2000年)からバブルまで
  日本は1990年で製造業世界一となった。1991年にはソ連邦が崩壊した。
世界経済はアメリカはじめ多くの国がデフレに近づいており、デフレ体制の準備を始めていた。一方日本も経済成長率が2.0%に接近していた。しかし、大蔵省は2.0%という数値がデフレの入り口的な数値であることを理解せずに、日本は当時新進気鋭の経済学者が「つくば学術都市の発展」が土地の値上がりにつながり、東京周辺の人々や、ゴルフ族が「土地の値上でゴルフ会員権が自社の退職金を上回ることに気が付いて、ゴルフ会員権成金が続出した。当時の日本人は欧米先進国に一歩近づいたことを自ら評価し、自分たちは中流の上になったと気勢を上げたが、1997年バブル崩壊で、国民がどん底へ落ち込んだ。
中でも財テクを支援していた大蔵省官僚は天国から地獄に落ち、以後景気政策がトラウマとなり、これ以降国の運営で「デフレ化から抜けられなくなっていった」

テーマ3 : 1997年から2005年:バブル化による被害を検討し、A.健全企業、B.被害部分を切り
  離し、規模縮小で再起する。C.被害部分が多く縮小後大企業に吸収合併
D.ゾンビ企業の倒産処理:国が管理する公共投資分野は国で検討し、救済する
E:ゼネコン等土地バブル目当ての財テクが失敗したが、財務省が公共投資費として200兆円を予算として確保した。集め、全社救済されたようだ。
ただし、ゼネコン傘下の現場工事下請け企業は救済されなかった。そのためこの年の公共投資は目標予算が余った。

テーマ4 : 新自由主義 (英国方式と米国方式)
  離し、規模縮小で再起する。C.被害部分が多く縮小後大企業に吸収合併
D.ゾンビ企業の倒産処理:国が管理する公共投資分野は国で検討し、救済する
E:ゼネコン等土地バブル目当ての財テクが失敗したが、財務省が公共投資費として200兆円を予算として確保した。集め、全社救済されたようだ。
ただし、ゼネコン傘下の現場工事下請け企業は救済されなかった。そのためこの年の公共投資は目標予算が余った。
  1. ⅰ)第二次世界大戦後、1970年代まで、先進諸国の経済政策はリベラリズム(ケインジアンが主流であった。これは、伝統的な自由放任主義に内在する市場の失敗と呼ばれる欠陥が、世界恐慌を引き起こしたとする認識のもと、年金、失業保険、医療保険等の社会保障の充実、公共事業による景気の調整、主要産業の国有化などを推進し、国家が経済に積極的に介入して個人の社会権(実質的な自由)を保証すべきであるという考え方である。
  • このような、大きな政府、福祉国家と呼ばれる路線は、1970年代に入り石油危機に陥るとマネタリストやサプライダー(供給重視の経済学)からの批判にさらされる。
  • 当時英国は英国病と揶揄された慢性的な不況に陥って財政赤字が拡大し、米国でもスタグフレーションが進行し失業率が増大した。こうした行き詰まりの状況を生み出した責任が、国家による経済への恣意的な介入と政府部門の肥大化にあるという主張である。
  • こうして1980年代に登場したのが新自由主義である(ハイエクの新自由主義論:1980年)その代表例が、英国のマーガレット・サッチャー政権によるサッチャリズム、米国のロナルド・レーガン政権によるレーガノミクスと呼ばれる経済政策であった。
  • サッチャー政権は、電話、石炭、航空などの各種国営企業の民営化、労働法制に至るまでの規制緩和、社会保障制度の見直し、金融ビッグバンなどを実施。グローバル資本主義を自国に適用して外国資本を導入、労働者を擁護する多くの制度・思想を一掃した。
  • レーガン政権も規制緩和や大幅な減税を実施し、民間経済の活性化を図った。
  • 同時期、日本においても中曽根政権によって電話、鉄道、などの民営化が行われた。
  • 1990年代に入ると、日本では小沢一郎が、著書「日本改造計画」で、新自由主義の思想を集約した。しかし、「日本改造計画」では、小選挙区制の導入、市町村の全廃と300市への収斂(しゅうれん)などが述べられている。

  1. ◎欧米式新自由主義への評価
    「社会といったものはない」と説き、国家に対する責任転嫁を戒めたサッチャーのもと、自助の精神が取り戻されたという評価や、以下の各国に共通した双子の赤字の課題を残しつつも、英国が英国病を克服したこと、米国が石油危機に端を発するスタグフレーションを脱し、1990年代にはクリントン政権下でインターネットなどの新産業が勃興し、経済競争力を回復した。南米ではブラジルが1990までに深刻なインフレの制圧に成功し、ブラジル通貨危機までの安定成長を遂げていることなど、グローバル資本主義の功績であると評価されている。
    日本では、小泉政権が、日本経済の供給サイドの強化を指向した新自由主義政策を推し進めた。

  2. ◎欧米式新自由主義への批判
    各国での批判
    労働者に対する責任転嫁は格差社会を拡大したとの批判もあり、また新自由主義的な政策で国民経済が回復した国は存在しないという説もある。債務国の再建策として新自由主義的な経済政策を推し進めていたIMFも、2005年にその論理的な誤りも認めている。
    日本では、小泉政権による、新自由主義政策の是非は定かでないとの意見もある。失われた10年ともいわれた長期不況は、欧米や南米のような供給不足による不況として生じていたものであるとの認識の下ではなく、需要不足による不況として生じていたものであるとの認識の下、小泉政権下での新自由主義的政策路線は、この不況を欧米と同様の構造的不況として、供給サイドの強化により著しい株価下落と失業率の増加を招いたこと、2000年から続く外需先導での経済成長は、米国の経済成長や財務省による円安介入との効果も考えられるとの評価もなされている。

テーマ5 : 小泉政権が実施した新自由主義の内容と成果
  2001~2006年小泉構造改革 : 日本経済のかつてないデフレーションの長期化をうけ、小泉総理演説 (2001年5/5) 「今の痛みに耐え、明日をよりよくしようとする米百俵の精神こそ、改革を進めようとする今日のわれわれに必要ではないか。構造改革なくして、景気回復なし」演説し、政権は経済の立て直しを最重要課題に揚げた。「聖域なき構造改革」の概要は
  1. (1)不良債権処理の加速化、
  2. (2)新規産業や雇用創出を促進するための規制緩和、
  3. (3)簡素で効率的な政府(→安価な政府)をつくるための財政構造改革の推進と歳出の徹底的な見直し、等である。
  4. (4)小泉首相は、自らが議長を務める内閣府直属の経済財政諮問会議を司令塔に位置付け、同会議が毎年作成する「骨太の方針」に基づいて次年度の予算編集を行うこととした。これによって、財務省主導のもと既得権益で硬直化していた予算配分にメスを入れることを目指した。
  5. (5)郵政民営化、社会保障費の段階的削減のほか.
    ①国庫補助負担金の改革、②国から地方への税源移譲、③地方交付税の改革の三つを同時におこなう「三位一体の改革」などが議員や公務員などの強い反対を押し切って実行に移された。
  6. (6)竹中平蔵氏を閣僚に起用し、骨太の方針で2003年までに222件の規制を完全排除する。

 評価1.小泉政治は何を変えたか?
      北海道大学大学院法学研究科教授   山口 二郎

  1. ⅰ)小泉人気の構図―弱者は何故「小さな政府」を支持するのか?
    小泉首相が5年間の任期で、久しぶりの長期政権であり、政治変化が大きく、特に社会保障政策に大きな影響を与えた。
  2. ⅱ)一番大きな謎 : 弱者はなぜ「小さな政府」を支持するのか?
  • 小泉政権が推進した新自由主義の構造改革によって被害を受けるはずの人々が何故、その「小さな政府」を支持するのか、という疑問である?
  • 昨年9月の総選挙の結果は、大変な衝撃であった。当初は単に小泉首相のパーフォーマンスとか、言動に多くの有権者が惑わされていないかと述べたが、それはたぶん違うであろう。小泉首相を支持した弱者は、それなりに何かの理由で票を入れたに違いない。
  1. ⅲ)否定的イメージとしての再分配 (非正規社員320万人増、正社員93万人減) の数字が将来の日本人の低収入の兆しが読める。

小泉内閣への評価:学者の見解 : 経済学者のポール・クルーグマン 2001.7月
  1. ☆【聖域なき構造改革】 : 改革の中心は「銀行の不良債権処理」と「非効率的な公共事業の削減」に対し、今日本にある危機は非効率化ではなく、需要不足である。
  2. ☆小泉改革は問題を更に悪化させる可能性が高い。
  3. ☆竹中大臣は、改革が最終的に需要サイドも改善すると主張していた。そうかもしれないが、これは無謀である。過激な政策は、それが上手くいくとの確信があってとられるものではなく、ひょっとすると上手くいくかもしれないとの思いで実行されるものである。小泉政権のスローガンは「改革か破滅か」である。上手くいくことを願うが、結果として「改革そして破滅」になる可能性が高い」と述べておきたい。
    竹中大臣の政策は最低賃金で働く「日本人を産出することだから」である。芝
 

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