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ⅰ)日本の経営者の皆さん、サムスンの経営手法から、あなたは何を学びますか
11月号ではサムスンの李会長の戦略手法について詳しく説明してくれた。なぜ、韓国の事例をとりあげ、わかりやすく説明できたのかIさんに確認した。すると次のような返事をもらった。Iさんは「大学卒業後の私の職業はプロジェクト・マネジメント(PM)です。当時はPMという言葉を知っていたのは、日本では千代田化工、日揮だけであった。IさんはPMが新しい手法であることから、「受注から設計、建設、総合検査後の試運転までの流れを文書化する」ことを心掛けた。IさんのPM歴は大学卒業後に小規模ベンチャー企業で、社長は東大出の超エリートで担任教授が自分の後継者として選んでいた人材だった。Iさんはそのベンチャー企業で、実施したことは、社長が基本設計した後の、機械、機器、IT、土木設計関連とその製品の製作と現場建設を担当した。小さな組織で基本設計以外を任されたので仕事の流れを把握することができた。ここで10年滞在し、日揮にスカウトされて石油精製プラント建設国内1件、シェルドミニカ共和国製油所建設、ブラジルの国営ペトロブラス石油基本設計で8年、その後オイルショックがあり、Iさんは原子力部門に移籍し12年を過ごし、定年間際で宇宙開発事業団が実施する「國際宇宙ステーション計画の設計を行う」有人宇宙システムKKの常務として転職し、8年間、65歳で退職した。有人宇宙システム入社後、宇宙開発事業団から、「日揮のようなエンジニアリング会社とは何をどのようにする仕事なのか」という質問があり、「エンジニアリング業務」につき、毎月10のエッセイを書き、10か月で完成し、事業団の部課長クラスに配布し喜ばれた。おかげで部課長連中との交流ができ、コミュニケーションが容易になった。
人間の運とは思わないところで生まれるもので、日揮の友人から、エンジニアリング・ジャーナル社の新編集長を紹介され、面白いエッセイを書けないかという依頼があり、事業団に提供したエッセイの写しを見せたところ、その場で編集長からOKの返事があった。そこで今回は技術系の説明でなく、プロジェクト・マネジャーという人間の生きざまを「人間系エッセイとして、わかりやすくした【プロジェクト・マネジャー自在氏の経験則】=タテマエとホンネを丸ごと飲みこんだ経験則=を芝 安曇というペンネームで書いた。エッセイの主人公は自在氏で、自在氏から話を聞いて文章に仕上げるゴースト・ライター役が芝 安曇氏だった。
このエッセイはエンジニアリング・ジャーナル社からの注文で、月2回4、000字のエッセイであった。動機はエンジニアリング・ジャーナル社が出版している雑誌の内容が堅くて、面白味がないからと、新人の編集長から委託されたものであった。
Iさんはペンネームを芝 安曇として最初の2年分を出版した。3、4年分はプロジェクト・マネジャー自在氏の経験則ⅡとしてPMAJが出版した。経験則Ⅱは自在氏がはじめてぶつかった問題を解いた実践事例である。 |
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11月号は芝 安曇氏が考えた発想をとりいれたものにした。
芝さんの提案はわかりやすい。芝さんは「通常の批判は、作品に対しての評価である。どこが良いかと言われれば素直にわかるが、多くの場合駄目だと書かれた文章は概して何がダメなのか書かれていない。これでは反省することもできない。ところが11月号の発想はサムスンの実績事例を解説した点である。韓国人嫌いの人間にも、悔しいけれどよくわかる。有能な人間なら良いところをすぐ取り入れる。ところが平成のエリートは自分を変えようとしない。何故かというと、ゾンビを活かしている社会だからだ。日本の最大の欠陥はダブルスタンダードにある。しかし、世界一になったのにいまだダブルスタンダードが生かされている。特に産・学・官のトップ集団の中で大きく生きている。芝さんがサムスン李会長の発想を選んだわけの一つにシビヤーな規則を守ったから成功したことも含まれている。戦後の日本は土木工事の基準をダブルスタンダードにした。これで米国の巨大建設会社の参入を防いだ。現代になると日本の土木産業は米国内で競争に勝てない。調べると日本企業が進出した地域で、日本企業関連の土木建設工事が生かされているだけだった。 |
Z. |
日本のダブルスタンダードとはどんな点かな、 |
芝: |
簡単に言うと公式的にはフート・ポンドが使えないなどですが、日本には裏のダブルスタンダードがあります。それは法律できまったものでなく、商売上の習慣なので、ここではお答えできません。 |
Z. |
芝さんは裏の社会にも詳しいようですが? |
芝: |
表の社会で40年働いてきましたが、詳しく知りませんが、人間社会は表だけでは成り立たないようです。私が言いたかったのは、表だけ知っていても裏はあるという現実があるということです。長生きするには自然体が良いということも覚えてください。
さて、私はありがたいことにPMAJのオンラインジャーナルで2006年から本名で解説、提案をしてきた。PMAJの発足は1998年であり、事務局長という役職を仰せつかっていたが、新任のエンジニアリング振興協会専務理事から、1年目で赤字を出したら首だと宣告された。そこで仕方なく各部門の責任者に、赤字ならその部門を閉鎖する。しかし1円でも黒字なら継続する。そして余った予算は自由に使って結構と宣言したことで、各部が皆目の色をかえて、成果を出してくれた。おかげさまで1年目の成果は270万円で首がつながった。新任の専務理事が私を首にできないことで更に機嫌がわるくなったが、各会社からの派遣者が逆に盛り上げてくれ、2年目で軌道にのせることができた。宇宙開発の有人宇宙システムKK時代もまたPMAJも覚悟を決めてぶつかると、その勢いが部下につたわり、組織に機動力が生まれてくる。ありがたいことに國際宇宙ステーションの日本のプログラムマネジャーが9月のシンポジウムに参加してくれ、PMAJのシンポジウムに宇宙ステーションの話が聞けると客が増えた。そこで今回は日本のPMの発展とは何かを提起しながら、提案できる事柄があれば実施してみたいと心がけます。 |
Z. |
ありがとう。新規な気持ちで協力して欲しい。 |
芝: |
新規な気持ちの第1号が11月号の発表です。そこで考えたことは韓国第二の財閥サムスンの新会長の感覚の素晴らしさを追求し、これをまとめて紹介しました。その紹介を見て、日本企業でもできたよなーと読者が納得してくれたら、日本は立ち直れます。しかし、官僚やそれの下請けマスコミが新聞紙上でデフレ対策は消費税増税しかないと発表すると、皆それになびいてしまう。日本人自体は野心なく、家庭的な発想で官僚やマスコミの宣伝を聞き、国の資産が赤字になったという報告に、いたたまれなくなり、官僚の発言に同意し、お国のために税金を払おうとなります。しかし「国の経済」と「家庭の経済」は反対であることをこの際公表します。財務省の発想は家族的発想で、経済人の発想ではありません。
簡単に言うと、国が国債を使って仕事をすると、作業をした人に報酬が支払われます。これで市場に金が出てきたことを意味します。この金はすぐに別人の手に渡ります。市場は活性化しますよね! 大企業の金庫に入ると金は稼ぐことをさぼり、金庫で寝てしまいます。庶民の皆様お判りでしょうか。正しくは日本の発展はデフレで、消費税増税をすることではなく、貧しい人々に増税分を配分することです。貧しい人々は、お金をため込まずすぐ使ってしまいます。そこで市場に金が出回り、景気が向上します。しかし、財務省のやり方はアベノミックスで大企業が使った金の余剰金を、10年間昇給のなかった従業員に支払うという約束ごとを正すのが経済の原則です。実際はアベノミクスの余剰金は大企業への減税に使われました。これではお金が市場へ流れず、デフレが解消しません。ましてバブル崩壊後の日本の公債はゾンビ企業に多く流れました。同時に10年間も昇給しなかった大企業の従業員はこの恩恵がなかった。これではデフレ対策にならない。ではなぜ財務省は余剰金を大企業に流したか質問すると、大企業にイノベーションさせるためという。しかしマスコミ以外の書いた本(庶民は読まない)では、ゾンビ企業は韓国にまけて、海外からの受注が皆無だという。気の利いた人々は、この減税は官僚の天下り先に流れると言っています。
これでは景気が回復することはありません。
ここで庶民の皆さんにお伺いしたいのですが、お役人が天下りすると稼げるようになるのでしょうか?外国には天下りという職業はありません。これもダブルスタンダードですね!しかし残念ながら日本の検察は天下りなる非効率な組織をお掃除しないのでしょうね? 世界に類のないダブルスタンダードです。外人が転々と企業を変えられるのは実力があるからです。実は私(芝 安曇)はPMAJでP2Mガイドブック作成のメンバーの一人で、コミュニケーション・マネージメントと個人の実践力評価基準策定のメンバーの一人でしたPM資格はPMS,PMRが訓練を受け、卒業試験で合格すると、それぞれの資格者となれますが、実践力評価は厳しく、半数以上が失格します。
皆さんがご存じかもしれませんが、日本の官僚、民間そろってITが好きではありません。そこで起きた現象は経営者がITを使わずに、XX会社IT部門という会社が経営上の業務をしています。これでは経営が正しいかわかりません。IT経営は2000年から始まっていますが成果が出ていません。IT経営部門(下請け部門)米国のITソフトを買ってき、下請けIT会社が、IT経営を行いました。理想のIT経営と、従来のアナログ経営でつじつまが合わなくなりました。高い金出して実行したIT経営が無残にも、解体しました。元の木阿弥となりました。製造業世界一がIT世界では劣等生です。このままでは水没です。一方韓国はアジア諸国に出向き日本の代わりに仕事をとり、尚且つ好意を持たれている。東大卒エリート集団はグローバリゼーション時代になってから、逆に外に出なくなってきた。バブル崩壊後の日本国組織はIT経営を口にしながら、いまだにIT活動ができていない。本件の対策は新年以降にまわす。
その代りに江副リクルート会長のIT開発への発想と新株上場に際し、新株の高値が災いし、東京地検特捜部の徹底した調査で犯罪者となり、先見性に優れた人材が犯罪者として取り扱われ、グローバリゼーション下で発揮したであろう真のIT化の在り方を示すことができず、日本のグローバリゼーションは敗者的存在となってしまった。
残念なことに江副会長の配下には現在アマゾンのウェブサービスで世界3位となっているアマゾン会長のジェフ・ベゾスがいた。この事件がなければリクルートは現在のアマゾンの地位を超えていたといわれている。江副会長の素晴らしさは、東大時代に「情報が金になる」ことを最初に見つけて、成功に導いたことである。残念なことは、これから世界制覇を狙った矢先に犯罪者になってしまったことである。企業が第1部上場を目指し、この新株を有名人に渡し、新株の値を高める行為はごく当たり前の行為であったが、その株の評価が高くなりすぎ、それをすでにもらった関係者を含めて起訴され有罪となった。彼がいたら日本の金融は世界的に大きくなる可能性があった。残念である。 |
Z. |
日本人の金に対する世界的な感覚のなさが、今日の危機を生んでいるな。残念である。 |
芝: |
更に残念なことがあります。官僚を頭にした日本官僚機構、経団連を中心とした経済関係者、学実関係者の発展性のなさはこの機構の老朽化によるものである。これまで海外に派遣され、グローバル時代にふさわしい人材として評価されていた人も、今では昭和時代の老人の塊となっているだけです。しかし、令和の子供たちはオリンピックを見ても、競争力を持った人材が出てきている。
日本は令和産子供の拡大教育施設をつくり独自の教育、実践を学ばせてなければならない。
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Ⅱ―1 実績に於いてサムスンと日本政府の相違第一 |
Z. |
日本の危機とは何か?この課題は大きくて複雑である。評論家が問題点を指摘しても、では何をするべきか簡単にはわからない。そこで私はサムスンの李会長の実施した内容を理解してもらうことがわかりやすいと思った。そこで取り上げたのが、
ⅰ)サムスン李会長のIMF危機に直面し、実行した成果を学ぼう
オンラインジャーナルは韓国におけるIMF危機を取り上げた。
日本の読者はIMF危機に遭遇しなかったから、IMFの要求の厳しさを知らない、そのためバブル崩壊後の処理が全く異なっていた。
まず問題解決への手法が違った。問題解決への発想が異なっていた。その対比をしてみたい。 |
Z. |
それは面白いな。解決法の良さと悪さでは結果が月とスッポンの差になる。 |
I. |
まず簡単に言うとIMFのサムスンに対する要求は不良資産をかかえた企業はIMFの評価基準値以下はすべて切り捨てられた。サムスンには社長秘書室に財務系エリート200名、技術系エリート200名が存在した。ここでサムスン会長が取った政策が見事であった。IMFの要求に対し、経理系エリートはIMFが示した内容を理解できた。技術系エリートの判断は将来に向けた判断として、将来の有望事業に関連する部門と人材を残す方向で検討していた。会長の判断はここで、将来性を云々すると、自社の今後の運営の説明が容易にできるが、逆に反財閥系を目指している金大中大統領の方針に逆らうことになり、財閥第1位の現代グループ解体と同じ憂き目をみると考え、サムスン会長はIMFの要求をすべて取入れた提案を出した。そのためサムスンは技術系エリート200名全員が解雇となったが、李会長の判断は技術系エリートが必要になるまで全員解雇を考えた。その結果韓国は最大財閥現代と3番目の財閥大宇グループが消滅した。サムスンは一連の整理統合によってグループ会社は140社から84社へと一気に縮小されたが、無駄なスタッフを抱えることなく。身軽になって危機管理をしたことが実り、現在はトヨタを乗り越えた企業に躍進した。 |