関西例会部会
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関西例会レポート

PMAJ関西 KP 守能 昇治 : 1月号


秋の特別セミナー 講演 3
「夢工学式発想法のすすめ」 ~AI技術の進化でも職を失わず、豊かな人生を得るため~

川勝 良昭 氏  経営コンサルタント(東工業(株) 取締役)

はじめに
 先端デジタル技術(AI技術等)が起す「新・産業革命」は、それに対応不能な安心、安全、安定を目指す「現状維持型企業」と「全産業の職の半分」を消滅させる。世界の激変、激動、激震を先取りした不安、不安全、不安定を覚悟した「夢実現型企業」とAI技術も侵食不可能な「創造的経営プロ」と「創造的仕事プロ」だけを存続させ、勝利させる。
 「夢工学式発想法」の「在り方」は、このプロに不可欠な発想原動力、優れた発想力、優れた発汗力を教える。「やり方」は、夢を持ち、真似して真似しない、3つの脳(頭脳、胃腸、皮膚)を駆使した発想促進と発想阻害排除の簡単明瞭な手法。面倒な発想ルール、手順、マニュアル等の習得は一切不要。「今直ぐ、此処で」発想できるという内容を、エネルギッシュに講演いただいた。

概要
1.日本の「危機の時代」

 日本は深刻な構造的危機で、今のままではヤバイと警鐘を鳴らされた。先端デジタル革命で多くの企業が消滅する危機、AI技術の進化で職の半分が消滅する危機、近未来最悪の場合日本はアジアの小国に凋落する危機に直面している。そのためには我々が「創造的経営プロ」、「創造的仕事プロ」になる必要がある。事業計画書を作って、プロジェクトチームを3人でいいからスタートしてほしい。

2.成功と失敗を分ける根源的因子の探求
 講演者の得意分野である「プロジェクトマネジメント」に立脚し、長年の成果研究を活かし、夢を起爆剤とする、新しい事業プロジェクトを実現させ、成功させる考え方と方法論を確立した。その結果、「夢工学」が構築された。成功と失敗を分ける根源的因子は夢の存否である。プレスリーが唄う「I want you, I need you, I love you」の恋焦がれる「You」のような「夢」を持った人物は「夢」を必ず叶える。

3.夢工学式発想法の「全体」と「在り方」
 夢工学発想法は、「在り方(基本的な考え方)」に基づき、「やり方(具体的方法論)」を活用し、発想するシンプルな発想法である。在り方、やり方を次のように定義する。
在り方=夢工学式発想理論の体得+夢工学式発想原動力の存在
やり方=発想理論から構築された発想促進法+発想阻害排除法を発想原動力に発想
 そして、発想理論は、優れた発想を生み易くする基本理論であり、①夢工学の本質(夢の実現のためには汗と涙と血を流すこと等)、②創造の本質(模倣と等価等)、③3脳の本質(第一の脳の「人間性と真善美の認識・発想・行動」や「理性認識+時間認識+理性的発想」、第二の脳「胃腸」、第三の脳「皮膚」の「感性認識+本心・本気・本音認識+感性的発想」)で構成されている。
 また、発想原動力は、夢成功挑戦と夢成功感動体験である。夢を持つと、それを実現し、成功させたいと願い、その時、自然に生まれるものである。

4.夢工学式発想法の「やり方」
 夢工学式発想法のやり方は、発想理論から構築された「発想促進法+発想阻害排除法」を発想原動力を基に発想することである。
 発想促進法とは、発想理論に基づいて、夢の実現と成功への挑戦を夢共有者と共に徹底、状況仮説と効果仮説の徹底、真似して真似せずの等価性の徹底活用、直感の徹底活用、質より量の発想を徹底活用、即時・即場・徹底したメモ、一人発想とグループ発想の徹底をすることである。
 発想阻害排除法とは、現状維持主義、既得権益主義、島国根性、日本人的対人感情(質問は疑い、意見は反対、批判は人格否定)を徹底排除することである。

まとめ
 夢工学とは、夢の実現と成功のための在り方とやり方を説いたものである。それは、夢から構想を発想し、計画~建設・制作~完遂~運営開始~運営確立(夢の成功)までの一貫管理するトータル・エンジニアリアングである。
 優れた発想と優れた発汗を基に夢工学を活用して、夢を実現させ、成功させてほしい。

感想
 本来、1日のワークショップで講演される内容を60分間で凝縮して講演された。
 筆者が印象に残ったのは、胃腸は第二の脳で、脳より賢いという点であった。最初は意味が分からなかったが、「大好きなものを飲んで食べて楽しめば、胃腸から自然に優れた発想が生まれることがある」と説明を聞いて、合点がいった。
 後半で、川勝講師が自ら本発想法を活用し、実現した事業プロジェクトや新製品を紹介されたことで、実践の裏付けのある理論だと感じた。そして、何よりも、夢を持つことが大切であることを痛感し、元気の出るたいへん充実した内容の講演だった。

川勝 良昭様

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