PMシンポ便りコーナー
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ビジネススキルとしてのマトリックス図法

PMシンポジウム2015 実行委員 蛇岩 真一 [プロフィール] :5月号

1.はじめに
 マトリックス図は、色々なところで目にする上に表形式で簡単なイメージがあるが、これが意外と奥が深い。例えば、項目軸の決め方が違うと、元の情報が同じものでも異なる意味を見る者に伝えてしまうことがある。従って、マトリックス図の種類とメリット、項目軸の抽出方法を習得することで、情報整理や分析の精度が大きく高められると考えている。今回は、ビジネススキルとしてのマトリックス図表と、プロジェクトマネジメントでの活用について解説する。

2.マトリックス図の主な種類
 マトリックス図にはいくつかの種類があるが、以下の4種類の図をよく目にするのではないだろうか。L型・T型・4象限は軸が決まっていて関連を表すものであり、DMMは中心に大テーマを書き、周辺に要素分解した機能を表現するものである。

マトリックス図の主な種類

3.マトリックス図のメリット
全体を俯瞰しやすい (MECE : 漏れなくダブリなく)
関連性を見つけやすい
優先順位をつけやすい
対象を比較しやすい (差別化)
わかりやすく伝えられる (コミュニケーション)
発想ツールとしても利用できる


 また、文章では情報の完全性が解りにくいが、マトリックス図に整理することによって必要な情報が漏れていることを発見できる。以下は、最近話題になった記事から情報を抜き出し、マトリックスで整理したものである。
 見てわかると思うが、マトリックス表の1~3行目にある、「調査対象」「施設名公表」「全面交換を指示」の都道府県数と棟数までは原文のまま理解できるが、4行目の「検討中」から数字の意味が怪しくなってくる。「検討中」を「全面交換を指示」に加えると都道府県数が11になり、施設名公表数と一致しなくなってしまい、読む人によって異なる解釈をしてしまう危険がある。さらに、自分が事故に関係する当事者だとすれば、「不明」「全面交換(最大)」がわからなければ、最大の対応期間やコストが予測できず、正しい経営判断ができなくなるだろう。


(参考) 記事原文
 東洋ゴム工業 (大阪市) の免震ゴムの性能が偽装されていた問題で、国土交通省が施設名を公表した10府県16棟のうち4府県7棟の管理者が、建物の安全性についての調査結果にかかわらず全面交換を求める意向を持っていることが、読売新聞の取材でわかった。
 現在18都府県の全55棟を対象に進む調査の結果次第では、残る48棟にも交換を求める動きが広がる可能性があるが、交換製品の供給には1年以上かかるとみられ、問題は長期化する恐れも出ている。
 現時点で全面交換を求めているのは、神奈川芸術劇場 (横浜市) を所有する神奈川県と、高知市の県庁本庁舎など4棟が対象の高知県、県庁第1別館の愛媛県、舞鶴医療センター (京都府舞鶴市) の国立病院機構。他の7府県9棟を管理する自治体や病院などは検討中とした。 (  リンクはこちら )

4.軸の抽出方法
要素分解 (3Cの例)
要素分解 (3Cの例)
プロセス分解 (工程の例)
プロセス分解 (工程の例)
対立概念分解 (市場成長率の例)
対立概念分解 (市場成長率の例)

5.おわりに
 これまで簡単に説明してきたが、メリットや軸の抽出方法を理解することで、マトリックス図はプロジェクトマネジメントでも非常に有用なツールになる。単純であるがゆえに奥が深いマトリックス図。ぜひこの機会に習得して有効に活用してほしい。

以上

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