東京P2M研究部会
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情報セキュリティマネジメントとプロジェクト運営

水ing株式会社 内田 淳二 [プロフィール] :4月号

今回は、一月号「「政府のIT経営- IT for money -」に引き続き平成26年度当研究部会研究テーマ「情報セキュリテイマネジメントとプロジェクト運営」に関する概要を紹介させて頂きます。
【はじめに】
 日本は、1995年に始まった情報革命の波にうまく乗り切れず失われた20年を経験したとされています。情報が誰でも何処にいても入手できる時代での価値基盤を最大限に活用するための戦略・ビジョンが無く、欧米や韓国のビジネスリーダーが繰り出す新市場に追随出来なかったことが原因であったと考えられています。優れたモノつくり技術で世界中で称賛された日本型経営は、垂直統合型バリューチェーンの構築で成功しましたが、地理的時間的制約を超えた企業間連携で価値を生み出す水平統合型バリューチェーン構築に必要なコトつくり・仕組みつくり技術では成果を上げれなかったからだとされています。
 情報革命以前にはコンピューターの役割は事務や計算業務の効率アップに眼目がおかれ、良いものを安く大量につくることが価値であった時代のコンピューターの役割は限定的でしたが、世界人口の急膨張と地球資源の制約が明らかになった今日の価値は、安心・安全で持続可能な社会への貢献となりました。意思決定のスピードアップやマーケット開発に資するナレッジマネジメントへの情報通信技術の効果的活用が経営の主要テーマとなったのです。[1]
 今回研究では、IT活用を経営の根幹に据えて安全・安心で持続可能な社会構築を使命とするプログラム・プロジェクトのあるべき姿を描いてみました。
【ありのままの姿】
表 1 に失われた20年の主要な政治経済トピックをまとめてみました。1989年に日経平均株価史上最高値の38,915円87銭を記録するも、東西冷戦が終結し世界が一つの市場となって後、先行不明な経済環境のもと翌年1990年には\23,849と急落し以降、低迷を続けました。経済環境の変化に気づいた政府は、これまでの産業政策の転換を次々と打ち出し、グローバル経済への対応を急ぎました。2013年には東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、安心・安全で持続可能な社会実現が国家目標として明確に打ち出されました。
【あるべき姿】
2020年までになすべきことが、サイバーセキュリテイ基本法に基づき実施されていくことが決まりました。安心・安全を第一義とする社会において情報セキュリテイマネジメントをいかに実施するか・・・?以下の資料を基に、P2Mのミッションプロファイリングとプログラム統合マネジメントで情報セキュリテイマネジメントのエッセンスを取り上げてみたいと考えています。報告書は6月出版予定です。
以上
【参考資料】
[1] 平成25年度東京P2M研究部会報告書 Ⅱ 研究論文-2
「経営とICTの融合」 研究会報告
[2] サイバーセキュリテイ対策の強化に向けた提言 / 経団連 2015.2.17
[3] ISO27001 「情報セキュリテイマネジメント」 2008

表 1 : 失われた20年/サイバー空間拡大の契機となった主要トピック
トピック サイバー空間拡大の契機となった事由
1989 年 日経平均株価史上最高値の38,915円87銭を記録 東西冷戦終結。市場経済体制が主流となる。
1990 年 株価急落 1980年代に日本の製造業は世界の頂点に立ち、株価が\38,916を付けたが、翌年には、\23,849と急落し以降、低迷を続けた。
1995 年 マイクロソフトがウィンドウズ95を上市。 インターネット元年/新しいビジネス機会の増大に対応する組織能力の強化が課題となる。
1998 年 外為法改正 外国人投資家が日本株を買うのには政府許可が必要であったが、これが自由化される。
2000 年 倒産法改正 会社更生法、事業精算法等で新規事業創出機会が拡大。
  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 インターネット基盤である通信環境が一気に拡充する。
2004 年 労働者派遣法改正 製造業での派遣労働が解禁。労働市場の流動性促進。
2005 年 郵政民営化法案可決 金融市場の拡大。
2006 年 会社法施工 コーポレートガバナンス強化が求められる。
2007 年 J-SOX法施行 金融商品の取引適正化。会計のグローバル化が進む。
2013 年 サイバーセキュリテイ戦略策定 2015年までの3年間を対象とした取組を掲げており、内閣官房情報セキュリティセンター(以下「NISC」という。)を結節点として、政府機関等や重要インフラ事業者等の各主体が相互に連携しつつ、セキュリティ水準の向上やサイバー攻撃への対処能力の強化などに関する取組を推進することを通して、世界を率先する強靱で活力あるサイバー空間を構築し、もって「サイバーセキュリティ立国」を実現することを目標としている。
2014 年 サイバーセキュリテイ基本法成立 インターネットを介した情報窃取、改ざんの取り締まり強化、重要インフラの制御システムの安全確保などを経営の主要課題として取り上げることが求められる。

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