PMRクラブコーナー
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PMにおける私の持論

横河電機(株) 枝窪 肇 [プロフィール] :11月号

~はじめに~
かつて、「PM養成マガジン」にて、PMにおける持論を書いてみましょうというアクティビティがあり、それに参加したことがあります。
ここでいう持論とは、「経験から生まれ、行動を導いている方法論」のことです。
今回は「PM養成マガジン」に掲載した私の持論をここに再掲載させていただくとともに、現時点での考察を加え、日頃のPMに対する考え方を披露させていただきます。

~私の持論~
親心をもって接する

プロジェクトマネジメントを行う上で、私が特に大事だと思うのは「親心をもって接する」ことです。
プロジェクトは幼い子供のようなものだと私は思います。
思いもしないところで急に立ち止まったり、かと思うと蝶々を追いかけて道ではない草むらに飛び込んでみたり、急に笑い出し、泣き出し、おねしょをしたかと思えば、妙に大人びた顔をみせたり。
立ち止まった時には「先に行くとおもしろいことがあるよ」と言い、草むらに入った子にはその子の好きなおもちゃでこちらに関心を引き戻し、機嫌良く笑っているときには一緒に笑ってあげて、泣き出したときには理由を聞いてあげる。おねしょをしたら布団の後始末をし、大人びた顔をみたら褒めてあげる。
何かがあったときにすぐに対応してあげることで、子供は満足しこちらの期待に応えようとしてくれるのです。
これがもし忘れたころに行動していたら…。
立ち止まったことに気付かず自分だけが先に行ってしまったら子供は迷子になるでしょう。
草むらのどんどん奥に言ったら何でけがをするかわかりません。
笑っていることに興味を示さなければがっかりするでしょう。
泣き出した子をうるさいからと放っておいたら暴れて周囲のものを壊すかもしれません。
おねしょをした布団を干さなければ衛生的にも良くないし、成長していることを認めずいつまでも子ども扱いしていたら子供はすねてしまうでしょう。
このように子供のことを常に気にかけ、タイミングよく子供に接することがその子の教育には欠かせません。

プロジェクトも同じです。
停滞したら直近のマイルストーンを示し進捗を促す。
余計なタスクを実施しているようなら本来のタスクを示してあげる。
メンバーの成功には共感しメンバーが困っているときには理由を聞いて力になってあげる。
トラブルが発生したらトラブルシュートを行い、メンバーの成長を認めてあげる。
そうした目配り気配りをタイミングよく(スピード感をもって)行うことが必要だと思います。

気付いていても「何とかなるだろう」と放っておいても決して何ともなりません。
あのときすぐにやっていればと後悔しないためにも、目配り気配り、そしてタイミングが重要です。

親心をもって自分のプロジェクトを育て、ゴールに導きましょう。

~考察~
昨今のプロジェクトはGlobal化の影響もあり、そのハンドリングはより複雑に・より難しくなってきていることは間違いないでしょう。
しかしながら、PMの本質は大きくは変わっていないと思います。
道を示すこと、コミュニケーションをとること、見守ること、間違いを正すこと、親として責任を取ってあげること、そして共に喜びを感じること。
こうしたことに常日頃から心掛けていれば、着実にそのプロジェクトは前進できると私は考えています。

以上

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