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大転換時代の企業経営とプロジェクトマネジメントを考える

株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 代表取締役社長 芳澤 宏明 [プロフィール] :7月号

 富士ゼロックス総合教育研究所は1989年に創設された、富士ゼロックスグループの教育事業分野での価値提供を生業としている会社です。富士ゼロックス全体では「Document Service & Communication」の領域でお客様に貢献しようとしていますが、特に当社はCommunication領域でのお客様へのお役立ちを目指しています。具体的には営業力・サービス力強化、企業Wayや方針・戦略の浸透と現場での戦略実行力強化、マネジメント及び組織力強化、コミュニケーション改善を通じた風土変革、グローバル対応力強化、基幹人材の育成、また人事制度改革等を含めた制度設計等がテーマとなります。ご提供プロセスとしてはお客様の現状分析、コンサルティング、人材育成の企画・研修等の実行支援、定着活動のご支援を通じ、お客様の抱えていらっしゃる「人と組織」にまつわる経営課題解決のソリューション・パートナーでありたいと願っています。

 今年は干支で申しますと「癸巳(みずのとみ)」にあたります。「癸」は筋道を立て、原理原則を重視し処理する。「巳」は新しい生活の前触れで新時代や新様式の準備をし、旧態や古式の整理をする年だと言われています。一言で申せば大転換時代の前期にあたり、来年が後期になると易経では位置づけられる重要な年です。日本国内だけをみても政治の体制が変わり、経済も新たな動きを始めています。世界の中の日本への期待も「動かぬ日本」から「動く日本」へ変わりつつあるのではないでしょうか。2020オリンピック招致の活動等も動きを感じるようになりましたし、2014年FIFAブラジル大会への参加も決定しました。躍動する日本でありたいと思います。

 私たちのビジネス活動に於いてお客様の課題を伺わせて頂くと、まさに転換期に差しかかっていることが手に取るように判ります。どちらのお客様も従来の経営の仕組み、戦略の考え方、事業プロセスなどを大きく市場変化に対応させ、転換を図るための本質的な検討と実行がなされています。当然それに対応するための「人と組織」領域での変革テーマもお持ちであり、ご相談をお受けするケースが急速に増加しています。しかし正解のないテーマでもあり、お客様と目的目標を設定し、前例なども参考にしながら解決策を見出していく活動は今更ながら責任も重たいですし、また私たちとしても多くの気付きを得る事ができ、毎回毎回が貴重な出会いであり経験値(智)になっています。

 現代の経営テーマは一言で申せば「企業変革」つまり「企業イノベーション」を実践するという事になります。まさに企業イノベーションそのものがプロジェクトマネジメント(PM)だと申し上げても過言ではありません。あるいは社内で多くのプロジェクト・タスクが走り全体が企業イノベーションのプログラムになっているという事になります。そのご支援をするという点では、私たちの商談全てがしっかりとしたPMをベースとすることを要求されます。特に結果を追い求めるあまり、手段が目的化してしまいがちですので、常に目的・目標を共有する活動が重要となりますし、例えば風土変革などを行うのも短期間で成果を出そうとするだけでは好結果を生みませんので、いくつかのフェーズに分けながら着実な成果を出せるよう進行させることも肝要になります。

 さらにもう一つ重要なポイントとして俊敏性があります。つまりアジリティー、アジャイルです。全体を俯瞰する意味ではしっかりとしたPMでガバナンスをかけ共通目的、共通言語、共通認識をはずさず進める事が重要ですが、変化の激しい昨今のビジネス環境下では、プロジェクトの開始時点に全ての要求を集めることは不可能であり、集めたところで必ずといってよいほど、その要求は変わり、時に方針を俊敏に変更する事が必要になります。つまり、そうした変化・変更に素早く対応するために、これからの時代はアジャイルPMの考え方を取り入れる事がとても重要になってくると感じています。日頃からの適切なコミュニケーションを欠かさず、フレッシュで正しい現場の情報と接点を持ちながら、素早く問題を発見し、アジャイルに課題に対応していく、そういう力を我々自身も高めたいと思いますし、お客様のソリューション・パートナーとしても、その経験を共有してまいりたいと思っています。

 すでに2013年も半分が過ぎようとしています。来年2014年は「甲午(きのえうま)」です。その意味するところは、転換後期、新しい時代の始まり。旧体制の脱皮と新体制の構図の明確化が求められてきます。新たな時代に生き残りをかけイノベーションを行うことが必須の時代だからこそ、PMの重要性はさらに輝きを増すものと思われます。私たちの経営も時代の変化に合わせアジャイルに変化対応させながら進めてまいりたいと思います。

以上

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