例会部会
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「第158回 例会報告」

例会部会 生越 直人 [プロフィール]:3月号

 今回の例会より、日本プロジェクトマネジメント協会の移転に伴い、会場が変更になりました。我々、例会KP(キーパーソン)も不慣れな会場のため、至らない点が多かったと思います。今後改善してより良い例会にしたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

【データ】
開催日: 2012年1月27日(金) 19:00~20:30
テーマ: PMの先にあるキャプチャーマネジャー(ダイジェスト)
 ~P2Mとの類似性に着眼した案件獲得のメソッドの体感~
講 師: シップレイジャパン株式会社 主席コンサルタント 北村和彦氏

【例会報告】
[はじめに]
 今の時代は、待っていればプロジェクトマネジャーの仕事が舞い込んで来るようなことはあり得ない。各企業は、プロジェクトを取りに行かなければならない。
 このような時代に、物売りだけの営業では、プロジェクトを取ってくることができない。プロジェクトマネジャーも、自らプロジェクトを取りに行く営業になる必要がある。

[問題提起]
 技術力が高くても商売が取れなくなってきた。営業やBD(ビジネス・デベロップメント)の情報を信頼して提案しても失注してしまうことがある。このような現象が、多く発生している。その結果、以下のような問題が提起されるのではないか。
プロジェクトマネジャーがいくら優秀であっても、案件がなければ活躍の場はない
案件の質が悪いと、プロジェクトマネジャーの仕事は、火消しが中心になる
プロジェクトマネジャー職に次々とお呼びが掛かるほど案件は潤沢にあるのか
プロジェクトマネジャーの先のキャリアは仕事を取ることではないか

[問題解決型の案件営業]
 プロジェクトを取るためには、単なる製品・サービスの売り込み営業ではなく、お客様のビジネス目標・課題を解決する答えをアレンジするスタイル、つまり「問題解決型の案件営業」の活動が必要である。
 お客様のビジネス目標・課題が複雑化して、解決のための技術や専門知識が細分化する中、問題解決型の案件営業を実施するためには、各役割を持つメンバーによるチームでの営業活動が重要になる。売り手視点ではなく、お客様視点でのチーム戦を進めるためには、プロジェクトマネジャーのスキルを営業活動に展開することが有効である。

[キャプチャーコンセプト]
 「買い手の変化」「売り手の変化」により、従前の営業スタイルでは太刀打ちできなくなり、問題解決型の案件営業に進化するため、2000年頃に「キャプチャー」というコンセプトが登場した。
 そして、案件獲得前を「キャプチャーマネジメント」、案件獲得後を「プログラムマネジメント」として比較すると、P2Mとキャプチャーコンセプトは類似性が高いことがわかる。
(詳細は、PMライブラリの中にある月例会開催記録例会に掲載されている講演資料を参照)

[顧客に刺さる提案戦略]
 RFPに明記されている要件に沿って提案書を作成したのでは、横並びの提案になってしまう。提案で勝つためには、①意思決定者に「刺さる要素」=「ホットボタン」を探しあて、②その「ホットボタン」を捉え、かつ自社の特徴を差別化要因に仕立て上げるための提案戦略を立て、③その戦略に合わせて自社製品・サービスを組み立てた顧客目線(問題解決型)の提案書を作成しなければならない。
 ホットボタンを導き出すための手法として、「競合評価シート(BCM:Bidders Comparison Matrix)」の活用がある。関係者が持っている課題と重要度、そして関係者の力関係から影響者・意思決定者を特定しホットボタンを明確にする。進め方の概要は以下の通り。
a 誰が、どんな立場で、何を言っているかヒアリングし、競合評価シートに記入する
b 発言者の「力」と「重要度」を指数化する
c 「力」に「重要度」を乗じて「パワーレート」を算出する
d 「パワーレート」から仮説を立て、再度ヒアリングから繰り返す
e 「キーパーソン」を探し出し、何を考えているのか=「ホットボタン」を導き出す

[まとめ]
 キャプチャーマネジメントを活用して案件獲得するためには、以下の3点が重要である。
i 初動を早める
ii 良いポジションを得る → 別途方法論があるので、関心がある人は連絡して欲しい
iii ホットポイントを攻める → 今回の講演内容

 最後にワークショップがあり、習った「ホットボタン」の導き方を実感することができ、大変わかり易い講演であった。また、プロジェクトマネジャーの次のキャリアとして、どのようなことを目指さなければならないか、改めて考えさせられる内容であったと思う。  受講者アンケートでも「興味深い話だった」「参考になった」「役立ちそうだ」といったご満足された意見を頂けた。

以上

 日本プロジェクトマネジメント協会では、月例会(概ね、第4金曜日の19時~20時半)を通じて、有益かつ時機を得たPMビジョン・戦略、PM手法、PM実践事例などの話題提供ならびに会員交流の機会を設定しています。是非、ご参加下さい。
 また、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。
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