図書紹介
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ドラゴン桜(21 完結編)
(三田紀房著、講談社発行、2007年08月23日、1刷、ページ記載なし、514円+税)

デニマルさん:10月号

この本は漫画であるが、テレビ化(2005年7月)され、こちらでも話題になった。原作は、漫画雑誌週刊モーニングで2003年から今年まで連載された人気シリーズである。単行本としても21巻あり、累計で600万部も売れたという。過去に同類のものが幾つかある。「どろろ」(手塚治虫作、1969年)、「子連れ狼」(小池一夫作、1970年)、「釣りバカ日誌」(やまざき十三作、1988年)等がある。いずれも話題性に富んだものだが、釣りバカ日誌は現在でも続いている。漫画もストーリィ性とキャラクターの特異性が必要だ。今回紹介の「ドラゴン桜」は、小説を読むようなストーリィ性のあるドラマが展開される。主人公(桜木)は、経営破綻した龍山高校の再建整理に乗り込んできた。だが一年以内にこの学校から東大生を出して超進学校にして、学校を再建する道を選択した。偏差値の高くない2名の生徒は、残された時間を猛特訓の勉強で、センター試験に合格し東大受験をする物語である

ドラゴン桜のポイント(その1)   ―― 子育て論 ――
元々勉強が嫌いな子は、勉強が楽しくないからやらない。だから成績も上がらないので学校へ行くのも面白くない。そして徐々に勉強以外のことに興味を示し、何故学校で勉強するのかを忘れてしまう。これは学校の教え方にも問題があるが、根本は親の子ども教育である。キチント学ぶ楽しさや、何故勉強するのかを教えていなことに原因がある。これは何も勉強だけに限ったことではない。普段の生活上のやるべきことや、躾けの問題である。

ドラゴン桜のポイント(その2)  ―― 受験勉強術 ――
大学受験で国立大学志望の場合は、科目数が多いのと難しいのが問題だ。限られた受験期間で万全を期すのは、不可能に近い。そこで何からどう手を付けたらいいのかを教えている。どの大学も高校時代の基礎学力をミッチリ身に付けていれば合格する。基礎も無いのに、難しい練習問題をいくらやっても意味が無い。基礎訓練に時間を費やすことを勧めている。そして夏休みや冬休みに模擬試験で実力判定を兼ねた度胸試しが必要と書いている。

ドラゴン桜のポイント(その3)  ―― 目的の達成(人生論) ――
この本には、一つの人生哲学がある。主人公が落ちぶれた高校から東大合格者を出す意味を、受験生の二人に徹底的に教えている。現在の高校にいるのは、それなりの理由がある。今まで何の目的もなく漫然と過ごしていたので、目的を持った者に遅れをとっている。それに打ち勝つには、最高の大学に入って負け犬にならない自分をつくり上げることを説いている。最後にこの二人の受験生は東大に合格したのか。それは読んでのお楽しみである。

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