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リスク管理について

新日鉄ソリューションズ株式会社 杉本 雅彦: [プロフィール] :9月号

 新日鉄ソリューションズ(NSSOL)におけるリスク管理について少し述べてみたいと思います。NSSOLには、ソリューションクオリティコントロール室(SQC室)という、全社レベルのPMOを担う組織があります。各ビジネスユニットやプロジェクト毎に置かれた個々のPMOを統括しています。
 SQC室はプロセス技術の専門家集団として、社全体のプロジェクト遂行能力向上及び重要プロジェクトのモニタリングと支援という2つのミッションを負っています。それぞれをプロジェクトの防火と初期消火ととらえており、SQC室はプロジェクトメンバーとともに活動する「消防隊員」的な意識を持っています。防火面では、障害を出さない体質にするために、リスク感度を高める活動や開発標準の制定と利用推進、クラウド上のNSSOL独自統合開発・テスト環境の利用促進、プロセス診断とプロセス改善の支援などを行います。初期消火面では、プロジェクトのリスクモニタリングと早期介入支援を実施します。活動にはプロジェクト管理やプロセス診断の各種資格取得奨励も含まれます。
 約10年前にSQC室が設立されて以来、開発プロジェクトの大規模化に起因するリスクを対象とした対策を取ることで成果を上げてきました。最近ではプロジェクトの短工期化、顧客要求の複雑さや曖昧性の増大などに伴う新たなリスクが目立ち始めています。NSSOLが提供するクラウドサービス(IaaS)を利用したITサービスや、データセンターを活用した一括アウトソーシング受託案件などの新たなソリューションも急増しています。ITサービス提供に伴うリスクも増大していると感じています。
 これらのリスクに対応して、提案書作成や基本計画などの源流工程におけるリスクレビューや、ITサービス案件のサービス開始前の審議、法務部門による契約内容のリスクチェックなどを行い、リスク管理一覧表を利用してリスク管理を徹底しています。リスクが顕在化した場合に重大な影響が出ると判断した場合は、ただちに回避・軽減を目的として早期に介入支援します。
 事業を拡大するには積極的にリスクを取る姿勢が必須です。外的要因からも意識すべきリスクは範囲が拡大し複雑さを増しています。リスクに対する意識や管理もそれらに適応して変える必要があります。SQC室を中心として、リスク感度をさらに高め、より広範囲でかつ深くリスクを認識するとともに、効果的なリスク対策を早期に実施することの重要性がますます高まると思います。

(お知らせ) 新日鉄ソリューションズ株式会社は2012年10月1日付けで、新日鉄住金ソリューションズ株式会社に社名変更いたします。

※ 「NSSOL」は、新日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。

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