法人会員様コーナー
先号   次号

プロジェクト推進の潮流と改革

株式会社CIJ 石田 誉幸: [プロフィール] :7月号

 入社して27年、言語系システムから業務系システムまで幅広く開発を経験して来ました。現在は、管理的なポジションで業務に従事しております。
 いろいろなプロジェクトに参画してきましたが、いずれのプロジェクトでも問題は発生、それは技術的な障害より体制的な障害に起因する場合が大きな問題に発展するケースが多かったように思います。また、それが大きなプロジェクトであれば、関係会社の思惑にも翻弄されがち、個人の考えで行動しようとしても会社の方針を優先するために、問題解決を複雑にしているように思います。
 しかし、最近あるプロジェクトに参画して大きなヒントを得ました。そのプロジェクトでは、大幅な進捗遅延を起こし、回復は至難の業と言われるプロジェクトもありました。遅延原因は、仕様が決定しない、品質が低すぎる、実行速度が上がらないなどでそれぞれが絡み合うものでした。しかし、そのプロジェクトでは進捗回復不可能といわれていた状況が、PMが変わったとたんに進捗が徐々に回復し、無事にカットオーバを迎える事ができました。回復させた要因は、PM自身の行動です。PMが各機能チームを回り進捗状況、仕様と問題点を理解し原因を分析し、全体進捗会議で指示を的確に伝えたのです。それには発注受注関係に関わらず遠慮なく行われました。それに呼応して発注元プロパも各協力会社と共に問題点対応に深く入り始め、協力会社社員も協力的な体制を組めるようになりました。
 そのPMの行動指針は、「優先すべきことを考え、現場に下りて、迅速に行動する。」だと言い切りました。それを考えれば、問題解決に当たり、それを解決するには何が必要か、何を犠牲にすべきか常に考えるべきでしょう。最優先はコストか納期か品質か機能かを考えれば、内外交渉、ハード資源、人的リソースをどのタイミングでとるべきかが見えてくると思います。
 失敗するプロジェクトは、ステークホルダが分担作業の境界を頑固に守った結果に発生する事が多いです。PM、PL、担当は、割当てられた作業をうまくこなすためを考えれば、担当の周辺の作業にも範囲を広げて行動すべきでしょう。畑で作物を作る場合でも、自身の畑だけ除草をしても隣の畑から草の種は飛び、根は生えてきます。それを取り除かなければ、自分の畑でよい作物は取れないのです。プロジェクトでも、一歩進んだ努力が必要だと思います。PMはPLの立場に時には入り、PLは機能リーダの作業の一部を担当、機能リーダは担当者間のレビューに機会を見て参加、それによって機能がわかり、問題点もブレークダウン、問題解決のスピードを上げると思います。最近のプロジェクトでは、各自が自分の与えられた作業だけをこなせばよいという傾向が見受けられます。それでは失敗プロジェクトを減らす事はできないでしょう。
 プロジェクトの参画者は全ての人が、一幅広く、一歩深く、一足早くの行動が大切という事でしょう。

ページトップに戻る