図書紹介
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「上昇思考」  幸せを感じるために大切なこと
(長友佑都著、角川書店、2012年5月25日発行、初版、202ページ、1,300円+税)

デニマルさん: 9月号

2012年のロンドン五輪は、数々の世界記録とドラマを残して無事に終わった。日本は、過去最高の38個のメダルを獲得している。それぞれの選手や関係者には長いドラマであった。中でも女子サッカーの銀メダルへの道程は、多くの日本人に元気と勇気を与えてくれた。それに比べて男子サッカーは、メダルに届かず期待されていた分だけ落胆も大きかった。所で、このオリンピックの男子サッカーは、別名U-23代表による世界大会と言われている。U-23とは、23歳以下の選手を主体に3名までオーバーエイジ枠を認めるというルールで試合が行われる。このルールは、サッカー・ワールドカップ(w杯)の試合運営と複雑に関係している。話が横道から入ったが、今回紹介の本とサッカーとは密接な関係にある。著者は、北京オリンピックや、2010年のワールドカップ・南アフリカ大会にも出場している日本代表選手である。現在、イタリアを代表するクラブチームのインテル・ミラノに所属し、昨年「世界のディフェンダー・トップ5」に選ばれ、今最も注目されているプロ選手である。

上昇思考は上昇志向   ―― ポジティブシンキング ――
著者は、昨年「日本男児」(ポプラ社)を出しているので、今回で2冊目の本である。共通点は、題名の通り上昇志向で常にポジティブシンキング(著者は、苦境を脱する力といっている)である。特に、大学時代に椎間板ヘルニアでサッカーが出来ない時期があったが、その逆境中でもヘルニアに負けない体幹を強化するための特殊なトレーニングを続けた。その結果、世界のトッププレーヤーに当たり負けしない体力をつくり上げたと書いている。

上昇思考は蹴球志向  ―― 世界一のサイドバック ――
著者の身長は170cmとサッカー選手では、小柄な部類である。しかし、試合中グランドで走るスピードと運動量は、並外れて多い。ある外国のスポーツ記者が、長友が二人いるようで、常にボールに絡んでいると書いている。著者のポジションは、サイドバック(守備)なので、フォワード(攻撃)とは運動範囲が多少異なる。彼の特長は、大学時代から鍛えたサイド守備から相手ボールを奪い攻撃に転じる力があり、攻撃的ディフェンダーである。

上昇思考は感謝志向  ―― 感謝の心と努力の気構え ――
著者は、三人兄弟の長兄で母子家庭の母親を支えながら、サッカーと勉学に努力した。その心の支えが、中学時代の恩師の教えである「人としての三本柱」(自分づくり、仲間づくり、感謝の心)であると書いている。特に、感謝の心が努力の気構えやポジティブシンキングが基本であるという。サッカーは11人でプレーするが、監督や控えの選手や、審判やポぺロイ(用具係)もいる。全てに感謝することで、最高のプレーが出来ると結んでいる。

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