地域活動コーナー
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「PMノウハウ伝播・伝承の活動」と「人材育成」の融合について

九州P2M研究会メンバー 前田 修 [プロフィール] :5月号

 私がこの活動に取り組んだのは、今から14年前の1998年4月である。当時は今で云うPMO活動は殆どなく、ひたすら先輩の背中を見て自分がその立場になった時に頑張るしかない時代であった。現在では、プロジェクトを監査する役割が組織で構築され、第三者の観点でチェックし、アドバイスする部門が増えてきた。だが一方で、PMノウハウを伝播・伝承する活動としてのPM教育は今でも十分とは言えない。よく人材育成は、企業の重点施策の一つと言われているが、現実どこまで人を育成することに自信を持って、『こうしています』と答えることが出来るかは、甚だ疑問である。
 ここに、筆者の思いである「PMノウハウ伝播・伝承」と「人材育成」の融合がある。
PMノウハウをカタチにして、如何に伝え定着させていくか、これは結構粘り強いテーマである。特に、先輩のノウハウをDNAとしてキッチリ引き継いでいくことが肝要である。そういう意味ではこの3月末に実施された第1回先輩PMを囲む会などは、決して1回で終わらず続けて頂きたい活動であると言える。以下に筆者が取り組んでいる『PMノウハウの伝播・伝承』の仕組みを紹介したい。
図1.プロマネノウハウの伝播・伝承の仕組み
図1.プロマネノウハウの伝播・伝承の仕組み

 この図からもお分かりのように、実はPMノウハウって至る処に転がっており、それらを丁寧に拾ったPMノウハウをプロマネ教育の教材に反映し、そこに集約させて教育として展開して行く仕組みである。現在筆者は、このプロマネ教育活動に東奔西走している真っ最中である。教育とは、PMのセオリーを教えることとマインドを伝えることだと思っている。その際大切なことは、『教える側の熱い思いと学ぶ側の食らいつく眼差しで成立する』ということである。そのために、取り組むべき課題は、タイムリーな教育が受講できる仕組み作りと現場と教育内容が一体化した真の教育である。ただ、教育実施そのものはあくまで『点』に過ぎず、受講後の受講生に何が残ったかである。つまり、心に響くものが残らないと、時間と共に消えてしまうのである。
 その防止策として現在、講習会終了直後にリフレクションシートを書かせ、それを上司がフォローする『線』の仕組みを実践中である。この『点』から『線』への教育という息の長い継続的活動は、有効な人材育成方法だと思う。往々にして、教育を受講した時は、納得感があっても、現場に戻ったら、またいつものパターンに戻って、教育効果が簡単に薄れていく様を筆者は数多く見て来た。また、本当に教育が必要な人こそ、実は忙しくて受講する余裕がないというのも実態かと思われる。だが、それらを簡単に容認していては、人材育成を語る資格はないと思う。
 真の教育は、やはり現場にある。つまり、現場でのOJTに加え受講後のフォロー・アップこそ、人材育成にとって最も大切なことだと私は思う。      ─ 以上 ─
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