【基調講演-2】 トヨタ生産方式(TPS)の本質とソフトウェア開発 |
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講師 |
名古屋工業大学客員教授 (トヨタ社友) 黒岩 惠 |
セッション概要 |
トヨタの経営哲学、DNAとも言われ、世界でも喧伝されるTPSは、生産活動だけでなく、多くの業種業態の改善・改革手法として適用されている。トヨタが米国で生産活動を始めて20年強、新車開発とTPSにおけるプロジェクトマネジメントは、80年代に衰退した米国製造業を「リーン生産方式」という名で復活させた。製品開発の面では、ITを駆使したコンカレントエンジニアリングへの日本的組織運営の導入。現場管理では、人を最大の経営資源とするTPSである。日本同様に多くの課題を抱えている米ITソフトウェア業界では、もの造りにおけるリーン生産方式をソフト開発プロセスに取り入れ、Lean/Agile
Software Development(LASDと略)として多くの方法論が提案、適用されている。
SCMや、ウォルマートなど米流通業のECR、あるいはゴールドラットのTOCなど、日本で知られている3文字略語の源流は、「自働化」とともにTPS実現の二本の柱である「ジャストインタイム」である。2000年以降、多くを米国から学ぶ日本のIT業界にもTPSが逆上陸しつつある。米国ではXP、Crystal, FDD, Scrumなど多くのLASDの方法論が提案されている。LASDでは、「改善、見える化、ムダの排除、コラボレーション、ジャストインタイム、自働化、相互支援、仕事の流れ化とリズム化、PDCA、問題点の顕在化、リードタイム短縮」などのTPSで強調する、ものづくり改善・改革の手法が取り入れられている。
ここでは、TPSの本質とTPS視点でのソフトウェア開発について米国のLASDの方法論を比較しながら考察したい。 |
講師略歴 |
1969年九州大学工学部工学修士課程(電気・制御)卒業。同年トヨタ自動車(株)入社。ロボットを含む生産技術開発(機械加工、鋳造、溶接、型加工)。工場建設とPA、新車開発のLA、FAの大規模な制御・情報システムの開発推進。物流改善とトヨタ生産方式の情報化(生産情報システム、「e-かんばん」など物流情報システム)推進。
1990年代初まで10年間、全社の「IT、メカトロ・FA教育」推進責任者。IMS,オープンFA,
CALSなど通産プロジェクトに関わり、2000年から2003年末トヨタ退社まで、電子商取引推進協議会、日本経団連など多くのEC/IT関連団体の委員会活動に参加。
現在、名古屋工業大学客員教授。九州工業大学大学院講師など大学、団体での講義・講演活動。東京、名古屋で「ものづくりITイノベーション」非営利団体DEE21を主宰。 |
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