グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第198回)
後退するグローバリズム

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :8月号

 FIFAワールドカップでは、筆者の1推しのフランスと1.2推しのアルゼンチンの制覇はならなかった。 大会前に、海外の友人には、決勝はフランス対アルゼンチンで、3-2でフランスの勝ちと予想していた。フランスが準決勝でイングランドにボコボコにされて負けたのは想定外で、アルゼンチンは土俵際打っちゃり勝ちの連続で決勝までなんとかたどり着いたが、スペインは実に強く歯が立たなかった。ラウンドが上がるとFIFAランキング上位国が順当に勝ち上がって番狂わせが少なかったが、筆者にゆかりのセネガルやその太西洋上の隣国カーボベルデの健闘はすばらしかった。

 ほとんどのチームでアフリカ出身者や親がアフリカのルーツを持つ選手の活躍が目立った。今や世界一のプレーヤーとなったフランスのムバぺ選手はフランスとカメルーンとの二重国籍であるし、スペインのエース ヤマル選手はモロッコ(スペイン語地域あり)と赤道ギニア(スペイン語国)のハーフである。イングランドチームもアフリカ系選手が5~6名居る。アルゼンチンはヨーロッパ系国民の比率が97%と世界でウクライナと並んで高い国であるので、アフリカ系は一人もいなかった。

 日本チームは優勝を狙うと言っていたが、道は遠い。ヨーロッパ、南米、アフリカのチームは際立って強くなっていた。

 話変わって、ウクライナとロシアの戦争であるが、2022年のロシア侵攻以来4年半が経過したが、筆者はこの戦争が始まった時、PMAJのオンライン講演で、決着までには10年かかると予言した。この戦争はたとえてみれば兄弟の骨肉の争いであるので、いつか停戦に至るはずであるが、停戦後もしつこいゲリラ戦が続くと予想する。

 最近の戦況を見ればロシアはかなり追い詰められている。ロシアにとり聖地とするクリミア(もともとの住人はモンゴル系のタタール人であるが)は軍需品だけではなく、民生品の補給ルートもウクライナにより、大部分が絶たれている。ロシア本土でも石油精製設備や大規模サプライチェーンの破壊で燃料油や生活必需品の供給が大幅に制限され、黒海の奥のアゾフ海の海運ルートもウクライナにほぼ封鎖され、大都市ロストフ周辺のボルガ川は行先を失った商船で満杯にあると報道されている。なんども報道されているが、ウクライナは西欧諸国の支援もあるが、自らロシアと戦う力を漸次蓄積してきた。今やドローンの製造、旧ソ連時代からのミサイル製造技術に磨きがかかり、ロシア侵攻以前から世界レベルにあったIT技術にも磨きがかかった。

 私が知るウクライナは完全に変わった。経済運営がいまひとつで、歴代政権は統治力が弱く、また腐敗ゆえに求心力がなく、国民の信頼に欠けていた。ゼレンスキー大統領と若いウクライナ国民がウクライナを変えたのであるが、強いウクライナが続き、停戦と戦後復興が進んでほしい。

 国際情勢には、その他種々困難な情勢があるが、筆者にとり極めて残念であるのがグローバリズムの後退である。 グローバリズムは世界の国が共生・協創により価値を生み出し、発展する原則である。学生時代に南北問題(発展途上国開発論)に取り組んで以来、社業はグローバリズムを具現する発展途上国を対象の中心とする産業基盤整備(「産業の種まき人」)であったし、50年におよぶプロジェクトマネジメントの民間外交はまさに善意のグローバリズムの追求であった。アクティブ・シニアライフにある今、この変調は残念でならない。

 唯一の救いは、東京で開催される経済産業省傘下財団法人によるグローバルP&PMセミナーで、今年も6月までに4コースが完了した。参加者は各国企業を代表しているが、ここだけはグローバリズムが生きており、踏み込んだ情報交流やエネルギー事業での協調が追及されている。 ♡♡♡

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