組織アジリティSIGコーナー
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「アジャイルの進度管理」

小原 由紀夫 [プロフィール] : 4月号

これまでウォーターフォールプロジェクトでは工程やタスクのガントチャートにより進捗を見ることができる。しかし、アジャイルプロジェクトにおいて、繰り返し期間(スプリント/イテレーション)のガントチャートを作成した場合、常に予定どおりとなってしまう。
コストと期間を固定として要件を可変とするアジャイルの進度管理について述べる。

1.ウォーターフォールの進捗管理
ウォーターフォールでは、要件に対してコストと期間を見積り、コミットする。要件を分解した工程やタスクに対して完了基準を設定してスケジュールを立案して、それらの予定をガントチャートに記入する。工程やタスクの開始と完了基準を達成した終了の実績をガントチャートに記入する。ガントチャートに記入された工程やタスク毎の予定と実績、工程やタスクの関連により進捗管理できる。

ウォーターフォールの進捗管理

2.アジャイルでの進捗管理の課題
アジャイルは期間とコストを固定として、一定期間で繰り返しする。期間を分解した繰り返し期間(スプリント/イテレーション)に対する完了条件は分解した期間のみであり、時間経過と共に順次繰り返し期間は完了する。従って、繰り返し期間のガントチャートを作成しても常に予定どおりとなる。これは、アジャイルでは要件を可変とするので、ウォーターフォールの工程やタスクのように要件が分解された完了基準を設定できないためである。

アジャイルでの進捗管理の課題

3.要件を可変とする進度予測
ウォーターフォールにおけるガントチャートは、要件と完了基準を分解して、分解した要件の完了条件を達成する期間の合計がコミットした期間内となるかを管理するために活用された。
アジャイルにおいては、コストと期間が固定であり、繰り返し期間とチーム体制は一定であるので、要件の可変に注目すればよい。
また、要件が可変であるため、要件の全体量が変化する。要件の達成量も繰り返し期間の経過と共に増加していく。要件の全体量から達成量を減算した残量に注目し、残量の消化量をグラフ化したバーンダウンチャートを適用する。

要件を可変とする進度予測

基準線として、開始時点の残量と期間完了日の0を直線で結ぶ。
繰り返し期間毎に達成分を減算してプロットし、繰り返し期間に要件の変動があれば、変動分を追加する。
グラフの傾き(達成量/繰り返し期間)をベロシティと呼ぶ。ベロシティはチームの成長と伴に増加していく。

4.要件を可変とする影響への対応
プロダクトバックログ(要求一覧)は優先順位で要件が並んでいる。現在の残量とベロシティから期間内に提供可能量を予測することができ、期間内に提供されない要求も予測することができる。

要件を可変とする影響への対応

期間内に提供されない要求は、より高い優先順位の要求、つまり、より高い価値を提供するために生じる。しかし、期間内に提供されない要求を期待しているステークホルダーには不満である。対象者と提供価値と要求について意見交換をしていくことが必要となり、ステークホルダーマネジメントなどのPMスキルを活用できる。
蓄積した経験だけでなく、開発アプローチの特性に合致したマネジメントが求められる。この要求にチームだけでなく、組織としても対応していく必要がある。

PMAJ組織アジリティSIGでは、組織として変化への俊敏性である「組織アジリティ」とDX推進に必須な風土・組織への重要な取り組みを研究しています。ご興味のある方は、お声掛けください。

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