組織アジリティSIGコーナー
先号   次号

「チームビルディングと目的」

小原 由紀夫 [プロフィール] : 1月号

プロジェクトに必要なメンバーが納期までの期限付きで集まる。プロジェクト初期では、上司から任命(指示)されて参画した人もいる集団である。このような集団をメンバーの能力の総和にプラスアルファできるチームに成長させていくことがチームビルディングである。チームビルディングとそのための目的の活用について述べる。

1.チームビルディングモデル
チームビルディングモデルとしてタックマンモデルがあり、PMBOK第6版 9.4 チーム育成に記載されている。

タックマンモデル

成立期では、メンバーが顔を会わせ、個々に独立して閉鎖的になりやすい。
安定期では、メンバーが一緒に作業をすることを通じて信頼関係が築かれていき、遂行期に成長していく。
チームビルディングとして、成立期と安定期の間の動乱期への対応が重要になる。
プロジェクトの独自性に対応する多様なスキルを複数のメンバーでカバーする。メンバー各々の経験とスキル、それらを活かすための作業や技法、PM技法が異なることも多い。作業や技法、PM技法はメンバー各々の経験とスキルの活用とプロジェクト推進の双方に必須のためプロジェクト開始時に決定するが、メンバーとプロジェクトの視点の差異のため最初のコンフリクトとなることが多い。このコンフリクトを契約や立場などの役割と責任による強制やそれらを受動する撤退・妥協で処理してしまうと成立期のままとなり、チームビルディングとしての成長が止まってしまう。

2. グループとチームの差異である目的
グループとは「共通する性質によって一つにまとめられた集団」(デジタル大辞泉)である。成立期のメンバー達は、プロジェクトに集められたという共通する性質によって一つにまとめられた集団であるグループである。一方、チームとは「ある目的のために協力して行動するグループ」(デジタル大辞泉)である。安定期の調整と遂行期の機能は、チームとしてある目的のために協力する行動であるので、安定期と遂行期のメンバー達はチームである。従って、動乱期の動乱とは、プロジェクトに集められたという共通する性質によって一つにまとめられたグループが自分達の目的を合意するために生じる。作業や技法、PM技法のコンフリクトの問題解決をチームとしての目的として合意できるプラスの影響を得られる好機として活用することができる。

3.目的による動乱への対応
目的は、プロジェクトの独自性と連動し、プロジェクトオーナーの期待とメンバー各々が持つ期待が連携して社会貢献することを表している。

目的による動乱への対応

作業や技法、PM技法のコンフリクトは、プロジェクトオーナーが理解し易い視点と各メンバーが経験とスキルを発揮し易い視点の差異により生じる。この差異と目的で合意している連携して社会貢献することを対応させた対話を通じて最適な決定を行う。
このようなコンフリクトは計画群プロセスで多く発生するので、チームとして目的を合意できるプラスの影響を得られる好機として活用できる。(もし、PMが一人で作成した計画書を一方的に説明してしまったとすると、この好機を失うことになってしまう。)そのためには、PMスキルはPMだけが持つスキルではなく、メンバーにも必要なスキルである。経済産業省が策定したデジタルスキル標準においてプロジェクトマネジメントを全人材類型に共通する「共通スキル」としている理由がここにある。
また、アジャイル開発のスクラムでは要求に取り組む前にチーム全員で準備する「スプリント0」を設定し、インセプションデッキの10の質問を活用して目的を合意している。40年以上前からNASAを含む世界10万人にPMセミナーを提供しているケイデンスマネジメント社もPMとメンバーを対象として計画における動乱期を超えて安定期に繋げている。

PMAJ組織アジリティSIGでは、組織として変化への俊敏性である「組織アジリティ」とDX推進に必須な風土・組織への重要な取り組みを研究しています。ご興味のある方は、お声掛けください。

ページトップに戻る