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来る年をいい年にする力

井上 多恵子 [プロフィール] :1月号

 “Good things keep happening to me.”
 「いいことが私に起こり続ける。」
 これは、2026年、私が自分自身に言い聞かせ続けたいと思っている言葉だ。大切なのは、このフレーズを一日に何度思い出し、心の中で唱えられるかどうか。結局のところ、勝負はそこにあるのではないかと思っている。
 この言葉は、あるポッドキャストで耳にした。語り手は、このフレーズを繰り返し唱えることで、次々と良いことが自分の身に起きているように感じられるようになった、と話していた。半信半疑ではあったが、私もある日、数時間だけ試しに真似をしてみた。脳は、意識に留めているものを探しに行く―そんな話を聞いたことがあるが、実際にやってみると、確かにその通りだった。無意識のうちに「いいこと」を見つけに行っている自分がいて、結果として「今日はいい一日だったな」と感じられたのだ。
 心と体はつながっていて、私たちの行動や結果は、自分が自分にかけている言葉に大きく影響される。そうした話は、これまで何度も耳にしてきた。聞いては実践しようとして、しばらくすると忘れ、気づけばまたネガティブな言葉を自分に投げかけている。その繰り返しだった。では、どんな言葉なら自分に効くのだろう。コップに水が半分しか入っていない状態を、「まだ半分もある」と思えるほど、私は楽観的ではない。だからこそ、“Good things keep happening to me.” というフレーズを、呪文のように唱えることは、私にとってちょうどいいのかもしれない。
 大切なのは、言葉の内容そのものよりも、それをあきらめずに繰り返せるかどうかだ。先日、福を招くフォーチュンギフトの特集広告を目にした。そこには「すべて、うま(馬)くいく」という言葉と、駆け抜ける馬のモチーフがあった。2026年の干支である馬は、躍動感や俊敏さ、勝負強さを象徴する幸福のシンボルだという。2026年は、うまくいくと信じ、そう言い聞かせながら進んでいく。そんな年なのだろう。
 “Good things keep happening to me.”というフレーズをつぶやくと、自然とワクワクした気持ちが湧いてくる。次はどんないいことが起きるのだろう。そう思うだけで、いつもの買い物道さえ少し違って見える。素敵な飾りに目が留まったり、知人に偶然出会ったり、ふと流れてきた音楽に耳を傾けたり。今まで気づかなかった街路樹の美しさに、立ち止まることもある。人は、自分の信念を裏づける情報を集める生き物だという。「いいことが起きる」と信じていれば、脳はその証拠を探してくれるのだ。
 個人事業主になってから、感謝の気持ちは以前よりも確実に増えた。仕事があることは当たり前ではなく、仕事をいただけること自体がありがたい。ハッピーで、自分のベストを引き出してくれる人たちと仕事ができていることに、心から感謝している。「ありがたい」という言葉は、今では一日に何度も自然と口にするようになった。この感謝の気持ちは、これからも大切にしていきたい。一方で、感謝はどこか受け身の姿勢でもある。感謝することに加えて、「いいことを見つけに行く」感覚が、自分を少し能動的にしてくれるのが嬉しい。
 朝、テレビ番組をチェックするのも日課だが、ただ眺めるのではなく、「何か私にとって良いものはないかな」という視点で見ると、世界は少し違って見える。最近「アナザースカイ」に登場したMrs. GREEN APPLEもその一つだった。人気があるという印象だけだった彼らの、人間的な思いや言葉への向き合い方を知り、見方が変わった。ドイツを旅する彼らを見て、かつてドイツを旅した良き思い出がよみがえった。
 “Good things keep happening to me.”。このフレーズを唱えることで、苦手なことから逃げ続けてきた自分の姿勢も、少しずつ変えていきたいと思っている。逃げてばかりいると、「いいこと」まで一緒に逃げていってしまうかもしれないから。
 先日、夫に言われた。「できないのは、才能がないからじゃない。ただ単に、数をこなしていないだけ。トライした回数が圧倒的に少ないんだよ。」図星だった。思い返せば、避ける癖は小学校の理科の実験までさかのぼる。うまくできなくて人前で恥ずかしい思いをしたくない。苦手なことは、得意な人に任せればいい。私は横で見ていればいい。そのスタンスは、その後の家庭科の授業や、登山でのテント設営、料理といった場面にも、そのままつながっていった。今でも、それでいい、と自分に言い聞かせ、いろいろなことを避けている。でも、いいことにもっと来てもらうためには、少し考え方を変えてもいいのかもしれない。
 いきなり人前で挑戦をすると、私は気持ち的にダメージを受けてしまう。だから、段階を踏んで。まずは、人目に触れず、落ち込まず失敗し続けられることから。先日サウナの中でふと思いついて足の指でするグー・チョキ・パーにトライをし始めた。失敗に慣れ失敗への耐性を身に着けたい。
 2026年、ひのえうま。いいことが、きっと私に起こり続ける!唱えることで現実のものとしたい。

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