今月のひとこと
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 マネジメントが弱い 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :1月号

 先月に引き続き、ユネスコ文化遺産「伝統的酒造り」登録1周年記念行事が続いています。文化遺産であろうとなかろうと、お酒はおいしければいいのですが、気になったのでちょっと覗いてみました。これまで何気なく飲んでいたのですが、ワインとかビールのような醸造酒の分野でアルコール度を20%前後まで高くできるのは、世界中で日本酒だけで、日本の発酵技術の高さが文化遺産登録の一つの要因だと、誇らしげな解説がありました。
  1. * 醸造酒とは穀物を発酵させて作るお酒のことです。
  2. * 醸造酒からアルコールを抽出して作るのが蒸留酒ということで、これだとアルコール度をもっと高くすることができます。(ワインを蒸留したブランデー、ビールを蒸留してウィスキー、日本酒からは焼酎・泡盛ができます)
 そんな凄い日本酒なのですが、ワイン製造法の文化遺産登録が2013年ということですので、10年以上遅れてしまいました。その理由は、かつては世界中で日本酒が認知されていなかったためだそうです。英語で日本酒を表現する時、ライスワインと言っていた時代が長くあり、最近になって漸くSAKEで通じるようになってきて遺産登録が叶ったということのようです。

 お酒につきものなのが愚痴です。愚痴を肴に一杯は世界共通の文化習慣ですが、愚痴の中身はお国や民族によって様々だそうです。我らがサラリーマンの聖地新橋では、「うちの会社には戦略がない」「社長には戦略がない」といった愚痴が飛び交っています。
 日本の会社の多くには、本当に戦略がないのでしょうか。
 P2M標準ガイドブックでは、2001年の初版から事業戦略に対応したミッションを明確にして個別プロジェクトに展開するのがプログラムだと言ってきました。戦略が無ければプログラムもプロジェクトも無いことになるのですが、どの会社にもプロジェクトが溢れており戦略がないはずはありません。どうして、サラリーマンたちは戦略が無いというのでしょうか。
 この疑問に答えるのが、P2M標準ガイドブック改訂4版で初めて紹介された「P2M事業モデル」です。P2M事業モデルでは、事業戦略に基づいてプログラムがスタートするようにミッションと書かれた太い矢印が描かれています。プログラムの最初のフェーズでミッションプロファイリングという作業が行われ、プログラムのデザインが固まります。戦略から流れる矢印に沿って活動するプログラムメンバーであれば、当然戦略を承知しているはずです。
 それなのに、「戦略がない」といった愚痴をこぼすとすれば考えられる理由は2つです。1つは、矢印のスタートである戦略がお粗末なケースです。これは愚痴どおりなので言い訳の仕様がありません。どのような戦略を立てるべきか、経営陣が頑張って検討するしかありません。
 2つ目は、矢印上のミッションプロファイリングとかデザインといった工程が上手くいってないケースです。ガイドブックには、事業モデルに描かれたここまでの作業について、上手くいっていなければどうなるかの詳しい説明が載っていません。恐らくですが、上手くいっていないことが「戦略がない」といった愚痴に繋がっていると思います。
 さらに憶測を重ねますが、日本の圧倒的に多くの会社では戦略がない(またはお粗末)ということではなく、戦略をプログラム(事業計画)に落とし込むマネジメントが弱いのではないかと思います。

以上

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