グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第186回)
ウクライナ大会オンライン出演

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :6月号

 日課で、夜You Tubeを2時間くらい見ている。見る頻度が高いコンテンツに世界への旅ものがある。根が食いしん坊なので、旅行会社出身のYou Tuberで食事と飲みのレポートが充実しているシリーズを見ているが、気が付くことは、どの国も発展しており、おしゃれなレストランやカフェが沢山ある、ということだ、例えば中央アジアのキルギス、モンゴル、あるいはアジアであるがほぼ南東欧とも捉えられるアルメニアやジョージアの街並みやレストランを見ていると、15年くらい前とくらべると質の向上が目覚ましい。まるでEUに居るように見える。そしてレストランの食事や酒の価格が高い。つくづく、物価が高騰したと言われる日本は、まだ世界と比べれば安いと思う。

 それとYou Tuberが世界馴れしているせいもあるが、SIMカードやeSIMの買い方、お財布携帯での交通機関の使い方やUberや類似移動サービスの使い方など、久しぶりの海外旅行を控えている筆者には大変参考になる。

 5月23日にまたウクライナの年次PM大会に、いつものように4日前に召集があり、15分のオンラインプレゼンテーションを行った。ホスト大学はキイウ(キエフ)にあるので、ロシアのミサイルやドローン攻撃の合間を縫うように開催されたオンライン大会で、ゲストとして、私の他にカザフスタンPM協会代表、トルコPM協会代表、アゼルバイジャンPM協会代表、ドイツの大学の教授夫妻が参加した。

 ウクライナの大会は、学者主体で運営、参加しており、ロシアの侵攻後も年に2回から3回開催され続けている。(科学)ナレッジを何より大事にする国では、戦時下であろうと学会はきちんと開催するというのがウクライナの矜持である。

 大会の発表は、どうしてもPMの理論モデルとリサーチの成果が中心となるなかで、私からの発表は“Recognizing Situational Changes in Project Management”として、戦後復興を目指すウクライナにとって。世界環境の変化を認識してほしいとの思いから、次のような事を述べた。

  • 先進諸国における国際開発プロジェクト(IDP)および政府開発援助(ODA)プロジェクトへの意欲低下
  • 炭素削減への道筋の停滞
  • 工場・施設建設コストの高騰と、多くの重要な産業プロジェクトの実施遅れ
  • プロジェクト資源のグローバルサプライチェーンの一部機能不全
  • ウクライナへの提言

 たとえば、先に米国(トランプ大統領)とウクライナ(ゼレンスキー大統領)間で、ウクライナのレア・アースの共同開発に合意したが、キャッシュ化までには10数年かかる、というようなことだ。当事者に強い意欲があろうとプロジェクトのサプライチェーンは機能不全の傾向があるので、一筋なわではいかないという現下の状況を解説した。

 もうすぐ、一連のグローバル研修が始まる。

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