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             「第169回例会」報告 
            PMAJ 例会部会 岡崎 博之: 2月号 
			             
【データ】 
  
    | 開催日: | 
    2012年12月21日(金) 19:00~20:30 | 
   
  
    | テーマ: | 
    「IT分野へのプログラムマネジメント実践的活用法」 
  ~IT分野のためのP2Mハンドブックの解説~ | 
   
  
    | 講師: | 
    佐藤 義男 氏/(株)ピーエム・アラインメント 代表取締役社長 | 
   
 
 
WG(Working Group)「IT分野でのP2M活用研究」の紹介 
今回の例会は2009年8月に始まったWG(Working Group)活動の成果として2012年10月に出版された「IT分野のためのP2Mハンドブック」を通じてP2Mを理解し実践していただきたいという思いが込められています。 
 
IT分野で求められる人材像 
これまでは、『所与の計画を遂行するマネジメント(QCD達成)能力』が求められていました。
これからは、『価値を生み出すためのプロジェクトを創り出す能力』そして『不確実な環境の中で関係者の間にある課題を解決する能力』が求められるようになっています。 
すなわち『与えられた課題を与えられた条件の中で解決する能力』から『自分で課題を発見し主体的に解決する能力(想像力と創造力)』へと変化しています。 
 
P2Mとは 
P2Mの特徴のひとつに 「新たな価値を創造」する「使命達成型」マネジメントがあります。 
この背景にはERPやCRMなどと作るべきものがはっきりしていた時代から、作るべきものがはっきりとしない時代に変化してきたことがあります。 
自分にとって価値のあるものを、自分で考えて創り出さなければならない時代になったのです。 
ユーザーは自分にとって価値のあるものを自分で考え的確に表現することが必要となります。 
ITベンダーはユーザーが求める価値のあるものを背景を含めて理解することが必要となります。 
そしてITベンダー、ユーザーの組織が相互理解の元にそれぞれが主体性を持った行動がシナジー効果を生み目標を達成します。 
 
IT分野のP2M実践事例 
ハンドブックに記載されている7つの事例から2つが紹介されました。P2Mの特徴にもとづいて「使命」と「価値創造」という視点で事例をまとめました。 
事例 1 ITベンダーにおける「 .NET(ドットネット)」事業プログラム
  
    | ① | 
    概要:マイクロソフト社が提唱した .NET という技術の種をもとに現実のビジネスとして立ち上げた事例。 | 
   
  
    | ② | 
    達成すべき使命:.NETによるサービスビジネス基盤を構築し全社展開を図る。会社の収益向上に貢献する。 | 
   
  
    | ③ | 
    新たな価値創造:ゼロから .NET ビジネスを創造し、先駆者となる。 | 
   
 
 
事例 2 大手生保次期情報システムのクラウド化プログラム
  
    | ① | 
    概要:次期情報システム構築をクラウドを使うことによって、経営課題の解決を図るシステムを構築した事例。 | 
   
  
    | ② | 
    達成すべき使命:システムライフサイクル・コストの大幅削減を実現し、生保業界で新たな価値提供を行える企業に変革する。 | 
   
  
    | ③ | 
    新たな価値創造:事業環境の変化に対応できるシステム構築・運用モデルを創造する。 | 
   
 
 
感想 
筆者は2010年にWGに参加し、ハンドブックの事例(データセンター構築)を執筆しました。P2Mのプログラムの部分に興味があったからです。どうやって実現するのか以上に何のために何を実現するのかを主体的に決めることが成功のかぎであるとずっと考えてきました。プログラムは正に筆者の思っていることに近いと感じたのです。 
今回紹介された2つの事例を読み直し、達成すべき使命の意図・意味・意義を読み解くことで、指示されたものを忠実に実現するのでなく、プログラムマネジャが思いを込めた価値を加えたものを実現することがP2M成功の鍵になっていることに気づきました。 
今回の佐藤氏の講演を聞いて、プログラムの重要性を再確認することができました。ありがとうございました。
 
 
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