「佐賀のがばいばあちゃん」
(島田洋七著、徳間文庫、2005年09月10日発行、25刷、233ページ、514円+税)

デニマルさん

 本の題名と著者に惹かれて読んでみた。題名の佐賀は、九州にある佐賀県である。次の「がばい」は、方言で「すごい」という意味だそうだ。最後のばあちゃんは文字通りおばあさんのことだが、本の内容や語呂からすると、ばあちゃんが最もすわりがいい。著者は昔を思い出していろいろ書いている。今から45年前のことだが、中身は至って新鮮である。

 現在、第何次かの漫才ブームだそうだ。1980年代は関西の横山やすし・西川きよし、関東のツービート(ビートたけしは北野武監督である)等々多くの漫才コンビがひしめきあっていた。その中で、著者はB&Bの名前で人気があり、NHK漫才コンテスト最優秀新人賞を受賞した実力コンビである。この本の舞台は、小中学校時代に疎開していた佐賀である。

がばいばあちゃん語録(その1)    ―― 貧乏編 ――
 著者は、色々な事情があって幼少時に母親の実家にあずけられた。当時は、終戦後間もない状態で、日本国中どこへ行っても物資のない貧しい時代であった。それでもそれぞれがたくましく生きていた。そんな中で、『貧乏には二通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。うちは明るい貧乏だからよか。それも最近貧乏になったのと違うから、心配せんでもよか。自信を持ちなさい。うちは、先祖代々貧乏だから』と、がばいばあちゃんは誇らしげに言う。

がばいばあちゃん語録(その2)    ―― 生活編 ――
 がばいばあちゃんの家の近くに小川が流れている。上流に市場があり、その上流で商品の野菜を洗っている。売り物にならない大根やきゅうりが捨てられ、下流ではその品物がただで拾える。『二股の大根も、切って煮込めば一緒。曲がったきゅうりも、きざんで塩でもんだら同じこと』、更に『夏には、トマトが冷えながら流れてくる』『このスーパーマーケットは、わざわざ配達までしてくれる。それに勘定せんでよか』と生活力たくましく言う。

がばいばあちゃん語録(その3)    ―― 教育編 ――
 当時は生きることに一生懸命であったが、学校では先生方が必死に生徒に勉強を教えた。親は子供の勉強まで手が廻らなかった。そこで『あんまり勉強するな。勉強すると癖になるぞ』『通知表は0でなければええ。1とか2を足していけば5になる』そして、英語が分らんかったら、『私は日本人ですと答案用紙に書いとけ』。漢字が苦手なら『僕はカタカナで生きていきますと書いとけ』。歴史も出来ん時は『過去にこだわりませんと書いとけ』最後に、『今日、明日のことを考えるな。百年、二百年先を考えろ』とがばい発言である。