ITベンチマーキングSIGの活動のご紹介 |
ITベンチマーキングSIG代表 富士通株式会社 久保野 邦子:1月号 |
このコーナーは、ITベンチマーキングSIGの活動を皆さんにシリーズでご紹介しているコーナーです。
ITベンチマーキングSIGは、『企業・組織を超えてIT業界共通のPMの問題を解決していこう!』という趣旨で活動をしています。2002年秋に発足し今年で8年目を迎えます。
IT業界を取り巻く環境は急速に変化しています。ITは今や社会のインフラとしてなくてはならない存在となっていて、重要性はますます高まっています。それと共にPMへの期待も大きく膨らんでいて、新たな課題・問題も顕在化してきています。このような環境を反映する形で新たに二つのWGが活動を開始しました。
一つは、「IT分野でのP2M活用研究WG」です。プロジェクトが高度化・複雑化し、経営と直結した案件を取り扱うようになってきています。その課題・要求にP2Mが応えるためにはどうすればよいかを研究しています。
二つ目は、各社・各組織のPMの人材育成への取り組みをベンチマークして、ベストプラクティスを横展開していこうという「育成WG」です。
この7年間で、活動の広がり、テーマの広がり、成果の普及が着実になされてきました。人の輪も広がってきました。しかしIT業界のPMにとってはまだまだ課題山積の状況にあり、やるべきことがたくさんあるというのが実態です。また研究内容も、より現場で活用できるものにするために具体化し深めていくことが必要です。幸いPMの実務経験と見識・知見のある方々がコアメンバーとしてSIGを引っ張ってくださっています。この素晴らしさを継続しながら、さらに研究活動の新たなテーマの企画とWGのリーダーを担ってくださる方々を広げていくことが必要と感じています。
ITベンチマーキングSIGは、職業、経験、年齢の異なるメンバーが、異業種の知見、ノウハウを結集して、実質的な研究活動ができるのが強みです。より高い質をめざして切磋琢磨できる、他流試合ができる絶好の場です。SIGの趣旨と活動内容に興味をお持ちの方は是非ご参加ください。
☆ 主な活動と成果のご紹介
研究活動のテーマは、リーダーを中心とするコアメンバーが起案し議論をして決めています。プロジェクトの失敗を防ぐこと、プロジェクトのパーフォーマンスを向上させること、コミュニケーションやモチベーションなどが大きな関心事となっています。PMの仕組み、PM技術、PM人材育成・活用のジャンルに分類されるテーマについてWGを組んで研究しています。
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テーマ/WG |
リーダー |
内容 |
PMの仕組み |
IT分野でのP2M活用研究
New |
近藤 洋司 |
プロジェクトの高度化、複雑化、更には経営と直結した案件を取り扱うようになってきた。依頼者側とベンダー側とを一体的にマネジメントし最適解を求める仕組み・やり方が求められている。P2Mでこれらの要求に応えられるのか、また応えるためにはどうしたらよいのかを研究する。 |
RFPベンチマーク
完了 |
梅村 良 |
RFPの質改善のために、RFPのベンチマークを行い、具体的なガイドラインとなる評価シートと提言を『RFPベンチマーク報告書』として刊行した。 |
PM技術 |
ヒューマン・コミュニケーションプロトコル |
板倉 稔 |
オフショアでの問題を分析し、プロトコル要素発見表など異文化コミュニケーション向上策を研究。研究成果を冊子『SEのためのヒューマン・コミュニケーション技術とコミュニケーション・プロトコル』として刊行した。また、セミナー『PM技術とヒューマンコミュニケーション』を実施している。 |
リスクマネジメント |
浅田 誠 |
現場で役立つリスクマネジメントのノウハウ集『ITプロジェクト実践リスクマネジメント・ガイドブック』を刊行した。また、セミナー『SIプロジェクトの実践リスクマネジメント』を実施している。 |
プロジェクトマネジャーの成功条件 |
佐藤 義男 |
日本におけるITプロジェクトマネジャーの成功条件をヒューマンスキル、技術などの視点から研究している。 |
PMナレッジ
完了 |
山本 哲也 |
失敗プロジェクト事例の分析をして、そこから得た教訓をまとめて発表した。 |
PM人材育成・活用 |
PM育成
New |
木野 高史 |
SI系PM育成について、育成プロセス、短期育成、実践力(実戦力)育成、研修効果・育成効果の測定手法をベンチマークして、取り組み事例をもとに、ベストプラクティスをまとめ、その横展開手法を研究している。 |
PSと人材活用 |
松尾谷 徹 |
プロジェクトメンバーの満足度を高めてプロジェクトパーフォーマンスを向上させるアプローチを研究している。 |
メンバーを元気にするPM行動、ダメにする PM行動 |
松田 浩一 |
プロジェクトの活性化をメンバーの意欲の視点で捉えPMとして効果的な行動を研究している。研究成果をもとにワークショップをPMシンポジウムで実施している。 |
TPSに学ぶPM |
小原 由紀夫 |
トヨタ生産方式(TPS)の“カイゼン”のような行動をメンバーがとれるようになるとプロジェクトの成功確率は向上するのでないかという仮説を検証している。研究成果をもとにセミナーをPMシンポジウムで実施している。 |
WGの研究活動の成果は、関係者が広く活用できるように冊子や報告書としてまとめています。主な著書として『RFPベンチマーク報告書』、『SEのためのヒューマン・コミュニケーション技術とコミュニケーション・プロトコル』、『ITプロジェクト 実践リスクマネジメント・ガイドブック』が刊行されています。
研究成果はまた、月例会、国内および国際的なPMシンポジウム、セミナーなどで発表して、世の中に普及しています。
以 上
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