「メンバーを元気にするPMの行動、ダメにするPMの行動WG」 |
WGリーダー:富士通株式会社 松田 浩一:12月号 |
1.はじめに
本WGは、PSと人材活用WGのサブWGとして活動していた「PS測定FST(フィールド・スタディ・チーム)」と「事例研究FST」が融合して出来ました。WG名称が長すぎることもあり、通称MM4活動と呼んでいます。"モチベーション"を"メンテナンス"する"4つのチャレンジ"という意味です。
2.4つのチャレンジ
1つめのチャレンジは、「PSを測ること」です。PSをプロジェクトメンバー個々のやる気(Partner
Satisfaction)と考えていましたが、測ろうとした途端に難しいものだと分かってきました。「PSは単純じゃない、放置したらしぼんでくるね」とか、「メンバーのPSにはプロジェクト・マネージャのPSが最も大きく影響しないか?」など、発見や問題提起があり、それまで、あまり考えもせず、簡単に「測ろう」としていたことに気がつきました。このチャレンジの次のステップとしては、PSそのものの検討をもう少し深め、アンケートによる測定方法についても改善することを考えています。
2つめのチャレンジは、「事例を蓄積すること」です。プロジェクト現場で実際に起こったことを「PSを向上させた事例」と「PSを低下させた事例」として収集しています。その目的は「良い事例を適用し、悪い事例を起こさないように注意して、PSを向上させる」ことです。この事例を知るだけでも「なるほど!自分の経験したプロジェクトでも実践したらよかったな」とか、「注意したらよかった」と思うことがたくさんあります。このチャレンジで蓄積した事例が、病んだプロジェクトの処方箋になる可能性を秘めています。
3つめのチャレンジは、「実際のプロジェクトを測定し、処方箋としての事例を適用すること」です。特にITプロジェクトの開発現場では過酷な作業が発生することが多く、成功にはほど遠い結果となっています。プロジェクトが成功するためにはPSを向上させることが不可欠ではないかと考え、1つめのチャレンジであるPS測定結果(健康診断)に応じ、2つめのチャレンジで得た事例(処方箋)を提供しようと考えています。このことで、我々MM4は、"PMが、メンバーを元気にしてプロジェクトを成功させる"一助となることを狙います。
4つめのチャレンジは上記3つのチャレンジを循環させ、改善することです。「アンケートでPSを測定する」→「PS向上する事例を提供する」→「その結果を分析する」→「さらにアンケートを改善し事例を蓄積する」という活動をしていきます。チャレンジの1つめから3つめがひとつの活動サイクルになっており、この活動をより効果的な内容にしていきたいと思います。
3.これからの活動
既に何度かアンケートを実施してPSについて分析しています。統計的な手法を使って、「どういう事項がPSに関わりが深いか」などの状況が把握できるようになってきました。しかし、その先にある「PSとは何で、どうすれば測れるか、どうすれば向上するか」など、まだまだ本質的な目的まで至りません。今は、まだ1つめと2つめのチャレンジをしている途中です。WGとして検討しているなかで、PSの定義そのものも変化していますので、測定するところについては、もう少し時間がかかりそうです。事例についても40件近くの内容が収集できましたが、もう少し判りやすい言葉で編集しなおす必要もありそうです。
4.さいごに
メンバーがやる気を出していても、PMにやる気が無いことが少しでも分かると、とたんに全員の元気がなくなります。また、メンバーを責任の重い立場にすると、多くは初めにやる気があがるものの、成果を得るのに時間がかかると、すぐに意気消沈する傾向があります。また、一部のメンバーには、責任を持たせると言っただけで会社に行きたくなくなるという場合もあります。こういったメンバー個々のメンタリティまで踏み込んだ検討も必要なのかもしれません。まだまだ検討することは多く、「PS研究のゴールは遠い」という感触をもっています。宇宙の果てを探るようなことに似た研究テーマなのかもしれませんが、それだけに益々楽しみでもあり、やりがいのある内容だと思い活動を続けています。MM4の活動にご参加をお待ちしています。 |