P2M研究会
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P2Mの見方・考え方を様々な場面で考えてみる

東京P2M研究会 藤澤 正則 [プロフィール] :1月号

 東京P2M研究会では、2012年度の活動として、PMシンポジウムでのワークショップ開催(総論賛成各論反対を制するP2Mの技)を中心に行ってきた。このワークショップの構成を実現するために、様々な場面での活用を考えてきた。
 私は、縁があって、昨年一年間、小学生のあるスポーツの応援兼写真担当を行った。
 小学生のプレーの素晴らしさに感動すると共に、リーダー(監督)やスタッフ(コーチ)の役割の違いも感じられた。そこで、この事例をP2Mの見方、考え方でみると、どう置き換えられるかを考えてみた。  P2Mでは、スキームモデル・システムモデル・サービスモデルでのスパイラルアップにより、想いを達成するアプローチを示している。
P2Mのサービスモデルで価値を生むフレーム

 全体のプログラムに置き換えると下記のようになる。
目的
チームとしての目的は、リーダーにより様々であるが、個々のメンバーは、みんなとできる楽しさ、練習してきたことができたことや勝てた時の喜び

制約条件
チームプレーと個人技量の組合せで構成されている。
小学生なので、毎年、6年生は卒業していくので組織のメンバーは、定期的に入れ替わるが、リーダー(監督)やスタッフ(コーチ)は、比較的長期間行う形になっている。
試合は、春、夏、秋と定期的にある。
限られた練習時間で行うので、個別の練習でのスキル向上に差が出る。
ルールは、標準化されている。

スキームモデルの活用
練習と試合は、各チームにおいては、時間的な制約の中で決められているため、各チームで変更はできないが、スキームモデルについては、各チーム、個人で工夫ができるのではと考えた。
例えば、「想い」はどこにあるのか、「あるべき姿」、「ありのままの姿」をイメージしやすくするために「負けない仕組み:基本に忠実」「勝てる仕組み:チャンスを活かす」「次につながる:チームと個人の成長につながる」に置き換えてみて、話し合いと行動ができるとチームと個人につながりができ、意識した行動ができ、実感できるのではないかを考えられる。

チームごとの特徴
強いチームと弱いチームの違いは何か?を春、夏、秋に行われた大会を通して、応援するチームはもとより、各チームの状況について、見てみた。その結果、下記のような事項の特徴があるようだ。

  強いチーム
スキームモデル・システムモデル・サービスモデルが機能している。
想いがしっかり伝わっている:人と向き合い、伝える、伝わる。
練習で、基礎がしっかり定着している。教える、教わる。
試合で、基礎ができているので、ミスが発生しても、フォローが確実にできるため、自らのミスでは負けないしくみとなっている。
攻撃においても、相手のミスを確実に利用して勝てるしくみになっている。
個々人が実感できるため、結果として、次につながる形になっている。

  弱いチーム
スキームモデルがない。システムモデル・サービスモデルで機能している。
練習をしているが、想いでつながっていない。
伝える場がなく、試合の振り返り、練習を行う形でなく、場当たり的になっている
試合では、自らのミスが発生すると、連鎖反応が起こり、負ける要因となる。

まとめ
 日頃は、会社組織を中心に、しくみづくりや人づくりを行っているが、人が行うスポーツにおいても、P2Mの見方、考え方でみると、また、違ったスポーツの一面が見えた。
 強いチームは、人と向き合い、合意形成しながら、形になっていき、その結果、人が集まり、さらにレベルが上がっていく姿を見ると、会社も同じようなことがいえるではないかと考えられる。
以上

 参考文献
プロジェクト・プログラムマネジメントガイドブック
2012年PMシンポジウム講義資料「総論賛成各論反対を制するP2Mの技」
2011年度2012年度東京P2M研究会資料
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