PMプロの知恵コーナー
次号

PMSの資格は活用できるのか

P2Mの普及と振興に日々頭を悩ましておられる協会と
PMSの有資格者でその活用にご苦労されている会員へ

西川 俊司 [プロフィール]  :11月号

表題を見て小欄を読もうとされた皆様、また、たまたまページをめくっていたら、小欄にたどりついた皆様、どちらの皆様でも結構ですので小職に15分だけ付き合って下さい。そして、これを読んでちょっとだけ考えてみてください。

皆様はどのような目的でPMSの資格を取ろうと思われたのでしょうか?また、PMSの資格を取った後、その目的は達成されましたか?
この質問に対し「プロジェクトの進め方が身についた」とか、「論理的且つ具体的な戦略がまとめられるようになった」とか、さらには「プログラムの考え方は現代のような複雑で変化に富んだ時代にフィットする理論であり、いつか自分に役立つことになるだろう」という、まるで模範生が返事をするかのように答えられる人はそんなに多くないのではないか。

しかし、本来は多くの受験者が情熱に燃え、自信に溢れ、現役バリバリの人であれば、「PMSの資格を取得して新たなプロジェクトにチャレンジし、実績を上げて会社で出世したい」という野望から、また自立してコンサルタントになっている人なら、少なくとも「この資格が案件の受注とコンサルティングのやりがいの一挙両得になる」と言うくらいの計算から受講したのではないのか?そして、その期待とは裏腹の「PMSの資格を取っても、状況は何も変わらない」という厳しい現実も知ったはずである。

では、P2Mの講義を受け、PMSの資格を取ったことは無駄だったのか?
その答えはノーである。P2Mの考え方は実にすばらしい。特にプログラム理論の底流に流れる全体最適の考え方は、変化より現状維持を是とする日本人の思考パターンのなかに挑戦意識と成功へのヒントを刻み込んだところに価値がある。また、プロジェクト理論も「何故、プロジェクトが必要なのか?どうすれば、効率的なプロジェクトが組めるのか、そして、構築後にはどのような効果が期待できるのか」などが論理的に説明されており、現代の閉塞感の漂う企業経営に一筋の光明を点けることのできる考え方だと思う。

つまり、理論はすばらしいのに、資格を取っても実戦で使えないというジレンマがすでに会員レベルでは出て来ているということであり、会員がそう言うことなら、いずれ組織の将来も頭打ちになる危険性があると思われる。では、この個人と組織の両方のジレンマはどうすれば解決できるのであろうか?その答えが以下に述べる戦略ゲームの制作である。分かりやすく言えば、ニーズの掘り起こしのためのツール作りということである。

そもそも、「P2Mの理論はすばらしい」と言っても、そう言うのはPMAJに属している会員くらいのものである。伝承して始めて価値が分かるのだが、価値が分からないから、顧客からは需要がない。需要がないから、普及がない。ここでも「卵か、ニワトリか」の押し問答であるが、こうした場合の正道は「迷った時は卵から」である。

戦略ゲームはPMAJの会員が期待する実戦経験と実益の獲得を一挙に満足するだろう。同時に、PMAJの期待するP2Mの普及にも貢献することになるだろう。なぜなら、戦略ゲームの底流に流れるロジックがP2Mの中の全体最適の考え方を基にして作られているからである。

と言うことで、もし許されるのであれば、設計段階でほぼ完成している戦略ゲームを今後このコラムに連載させていただき、ゲームの目的、ロジック、計算式などを披露したいと考えています。そして、会員の皆様の中でこの制作に関心のある方は実現性と市場性が見えて来た段階でも結構ですので、ぜひ制作に加わっていただきたいと思います。

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