STeLA(Science and Technology Leadership Association)
次号

STeLA-国・地域を超えた国際的なプロジェクトマネジメント-

樋爪 太郎 [プロフィール] :10月号

 近年、環境問題、エネルギー問題といった様々な国際的な課題に対し、科学技術が果たす役割は大きくなっています。問題は時代と共に複雑化し、その解決には様々な科学的専門知識が必要とされています。私達STeLA (Science and Technology Leadership Association)はこのような目下の課題に対し、何かできることはないか?という思いから立ち上がった学生主体による国際団体です。現在日本、米国、中国、EUの4支部からなり、各国主要大学の大学生・大学院生50名ほどのスタッフが所属しています。私達は「国際社会で活躍する人材プラットフォームの構築」、「科学技術の関わる国際問題解決に寄与」という2つの目標を掲げており、世界トップレベルの大学から科学技術分野の学生を集め、国際的な問題を多角的に議論し、問題解決の為に必要なリーダーシップを学ぶ機会を提供することでこの目標達成を目指しています。
 私達の主要な活動内容の一つが毎年夏に開催されるSTeLA Leadership Forumです。STeLA Leadership Forumは2007年を皮切りに過去5回、毎年8月に日中欧米の大学生・大学院生約40名を募り開催している一週間の合宿型フォーラムです。フォーラムの構成はリーダーシップ教育、分科会、グループプロジェクトの3部からなり、それぞれの部を通し、参加者に対して国際問題を解決するにあたって科学技術がどのような解決策となり得るか、そして解決の為に必要なリーダーシップとは何かを学び実践する機会を提供しています。
 本年度は東京・国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて「自然災害」をテーマに8月11日-18日の日程で開催しました。フォーラムでは参加者は自然災害という一つのテーマを通し、科学技術・科学技術者のあり方や求められるリーダーシップを議論しました。また本年度でのグループプロジェクトでは少人数の混成グループに分かれて、災害レスキューロボットの作成を行いました。最終日には東京臨海広域防災公園にて作成したレスキューロボットを用いた災害救助シミュレーションを一般公開で開催し、大きな盛り上がりを見せました。
 10月には、本フォーラムの報告会を13日に東京大学本郷キャンパスにて開催致します。また、下旬には新規スタッフ募集の説明会も予定しております。報告会はどなたでもご参加頂け、スタッフは大学に所属している学生ならどなたでもご応募出来ますので、興味を持たれた場合は、STeLAのウェブサイトをご覧頂きたく思います。
 さて、このような活動を行なっている私達STeLAですが、スタッフとしての活動はPMと非常に大きな関連があります。特に毎年夏に開催されるSTeLA Leadership Forumの準備にはコンテンツの作成、ファンドレイジング、ロジスティクス面の準備、参加者のリクルーティングなど様々な作業を包含しており、1つのプロジェクトと捉えることができます。多くの学生スタッフは忙しい学業の合間を縫って、フォーラム開催というプロジェクトのために働いています。本連載では、私達STeLAの活動をPMの観点からお伝えさせて頂きつつ、様々な組織・地域・国を跨いだ国際的なプロジェクトのマネジメントや、それを進めて行く際に必要なリーダーシップについて、皆様と考えて行ければと思っております。


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