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実務におけるP2M

横河電機 鶴畑 清臣 [プロフィール] :8月号

今回は、実務におけるP2Mの活用例を紹介させて頂きます。

私は2012年4月に新設された「トータルIA(インダストリアル・オートメーション)ソリューション企画室」の室長を担当しています。 当室のミッションは、石油、化学、鉄鋼、紙パルプ、ガス、電力、薬品、食品業界のお客様のプラント操業・保守における課題・ニーズをグローバルに把握して「ライフサイクル・ソリューション」を弊社のプラント監視・制御システムを基盤に企画することです。
 
この「ライフサイクル・ソリューション」には、
1) システム・サプライヤーからお客様のライフサイクル・ソリューション・パートナーへ変革すること
2) ベンダー型ビジネスからコントラクター型ビジネスへの拡大
3) ライフサイクル・ソリューションを提供するための組織横断的連携基盤の強化(バリューチェーンの再構築、BPR推進)
4) ワンストップ・ショップ・ソリューション・サプライヤーに不可欠なグローバル主要パートナーとのWin-WinB2B協業関係構築
等の多岐にわたる要件が含まれています。
 
当室のミッションをどのように定義し、社内外のグローバル・ステークホルダへ説明して協業してもらうかを検討する際に、P2Mを参考にしました。 まず、ミッションをP2Mの「創出型・変革型プログラム」と捉えました。 次にミッションを迅速、且つ、ビジネス環境変化に柔軟に対応して遂行するフレーム設計のためにP2Mの「プログラムマネジメント」を中心に参考しました。 結果としてミッションと遂行フレームを図1のように可視化してグローバル・ステークホルダへ説明して理解していただき、企画業務を遂行しています。 別の言い方をすると、当室がビル建設における「設計事務所」、弊社各事業部・グローバルB2Bパートナーが実際にビル建設を行う建設会社という関係です。
図 1
図 1

この図が最適かどうかは別にして、P2M的ミッション・問題課題の捉え方、ミッション達成、問題課題解決を迅速・柔軟に達成するためのプログラム指向が実ビジネスに有効であると考えています。
私はP2Mをミッション達成、課題・問題解決のためのアプローチと知識をコンパクトに整理した「Knowledge Repository(知識の倉庫)」として、参考書のように活用しています。
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