PMプロの知恵コーナー
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ゼネラルなプロ (22)

向後 忠明 [プロフィール] :8月号

”先月号“ゼネラルなプロ(21)”にて、プロジェクト目標の主なものは「スケジュール」、「資金(コスト)」、そして「品質」としました。
 そして、そのモニタリング/コントロールについて説明してきました。

 ここで少しプロジェクトモニタリング/コントロールの“考え方”について話をしてみたいと思います。
 プロジェクトモニタリング/コントロールは“ゼネラルなプロ(21)”の図21-1に示したようにプロジェクトマネジメントの一機能であり、プロジェクトの良好な管理・統制を実現させるものです。
 このモニタリング/コントロールの役割は、プロジェクトに携わる全員が持つ役割であり特定の人の役割ではありません。すなわち、与えられた目標そして計画に従いプロジェクトの各実行段階でプロジェクトの状況を監視し、その目標および計画からずれないように、各人が仕事を進めていくことにあります。
 このようにモニタリング/コントロールはプロジェクトに携わる各人がコントローラとしての意識をもって仕事を行うということが基本的前提条件となります。
 プロジェクトマネジメントとしてのモニタリング/コントロールとはプロジェクト全体としての計画に対するその実行状況の監視であり、その結果の報告をうけてプロジェクトの全容の状況を把握することであります。
 一般的にモニタリング/コントロールという役割はプロジェクトの規模にもよりますが小規模プロジェクトではプロジェクトマネージャに指名されたプロジェクトエンジニアがその任にあたります。そして、規模の大きいプロジェクトでは専任者としてのプロジェクトコントローラと称する人をプロジェクトマネージャのスタッフとして配置することが多いです。
 なお、このプロジェクトマネージメントスタッフが行うプロジェクトコントローラとしての責任と権限という観点からみると、この任に当たる者は“Problem Indicator”であり、“Problem Solver”でないことに注意する必要があります。
“Problem Solver”はプロジェクトを管理・統制・遂行する任にあるプロジェクトマネージャなど、それぞれの責任担当マネージャの仕事です。
 コントローラの任につくものが“Problem Solver”となると権限が絶大となり、プロジェクトマネージャおよび各マネージャの権限範囲を犯すことになるばかりか、コントローラの誤指示による責任はすべてプロジェクトマネージャにくることになります。

 なお、ここで注意することはモニタリング/コントロールはその任に就くものだけではなく、プロジェクトに携わる者全員がその役割を持って、“Problem Indicator”としての役割を果たすことも必要です。

 さて、いよいよ本題に入るわけですが、コントロールの種類については前ページに示した通り、コントロールの対象はスケジュールとコストです。

 何故なら、品質に関する異事事項の是正策の多くはコストやスケジュールに影響することを考えれば当然の帰着と思います。
 なお、品質管理には広義の意味と狭義の意味があります。
 広義の視点ではISO9001に従った品質マネージメント遵守であり、狭義の視点では検査/クレーム管理/仕様・スコープ変更管理などである。

 なお、“ゼネラルなプロ(21)”表21-1には管理項目とモニタリング/コントロールの対象を示しましたが、さらにコントロール対象の基礎資料となるモニタリング/コントロールの要素を以下の表に示します。
 これら要素はプロジェクト計画時点で設定されたものでなければなりません。またそれぞれのコントロール対象の目的に応じ時系列的に整理し、チャート/グラフ化し、スケジュール線表、プログレスカーブなどで表示する必要があります。

表22-1 モニタリング/コントロールの種類と要素

コントロールの種類 モニタリング/コントロールの要素
スケジュール ・ 作業要素/作業量
・ 期日、所要時間
・ 分量(リソース)
コスト ・ 人件費
・ 外注費
・ 資機材費
・ 諸経費
品質(仕様/変更要求/クレーム/異事) ・ コストに係る要素
・ スケジュールに係る要素
・ 人材
・ ツール・マニュアル

 なお、このモニタリング/コントロール要素もその対象をどの程度のレベルにて行っていくかによってその要素の細分化も必要になります。

 以上のことから、本エッセーでは主にスケジュールおよびコストについてのモニタリング/コントロール(なお、以降はコントロールと言います)について説明をしていくことにします。

<スケジュールコントロール>
スケジュールコントロールはプロジェクト実施スケジュール表に従って、プロジェクトの各アクティビティ(活動単位)がその期間内に収まるように統制し、その結果問題が発生したらそれらを調整・是正して行く行為を言います。
 コントロールの精度は計画段階でどの程度のレベルまでコントロール単位を掘り下げるかによって決まってきます。例えばマイルストーンに示すマスタースケジュール、このマスタースケジュールをさらに細分した究極のネットワークスケジュールおよび全工程を要件定義段階、設計段階、調達段階等々と段階に分けてさらに細分化したスケジュール線表などコントロール対象の設定の方法は種々あります。
 当然のことでもありますが、同時にプログレスメジャメントについても同じような考えのもとで計画を進めていく必要があります。
 さらに具体的にその役割について示すと:

計画段階で作成されたマスタースケジュールにて、そのプロジェクトに関係している人達にプロジェクトの全工程とそこに意図されている事をタイミングよく伝え、マスタースケジュールに沿ってさらに各実行部隊レベルに必要な詳細スケジュール作成の計画および管理ができるようにする。

実行部隊の進捗状況に関する情報を入手し、それをマスタースケジュール上に反映させ、プロジェクトマネージメントレベルでのプロジェクト進捗をこのマスタースケジュール上でチェックして行く。そしてスケジュール面での障害となる事象の可能性を探り、先手を取って予知し,是正処置が速やかに取れるようにする。

スケジュール上、問題の発生が予測され、その可能性が大きいと思われたら、遅滞なくプロジェクトマネージャに合理的判断のできる基礎情報を提供する。
 なお、スケジュールコントローラはコストコントローラとも常時連携を図り意見交換を行い、コスト面からのインパクトも考慮し、プロジェクトマネージャに報告する。

上記の結果は計量的かつ視覚的に進捗判定結果が示されるようすることが必要で  ある。そしてこの結果を月々の報告書(Monthly or Weekly Progress Report)としてプジェクトマネージャに提出する。

 なお、スケジュールコントロールのツールとしては  
スケジュール線表
プログレスメジャメント
による方法による方法等があります。

については実際の活動単位(アクティビティー)がスケジュール上でどこまで完成しているかを日々の情報を分析して、その結果をスケジュール線表上にプロット(Plot)して行く方法であり、
は①の結果を設定されたプログレスメジャメントの単位で進捗カーブにその結果をプロットして行く方法です。

 この方法は主に月単位での結果を示すケースが多く、顧客への報告に良く使われます。

1 ) スケジュール線表による方法
図22-1 スケジュール線表の例

図22-1 スケジュール線表の例

 上記図22-1の例では4月の進捗状況を示すものでA systemのメーカ計画予定のメーカ設計が半月遅れたことにより、関連のA Systemの詳細設計へのインプット情報が半月遅れとなっています。
 この原因は3月の進捗状況をみると引合/契約は予定通り完了しているにもかかわらず、請負業者側(発注者)のA Systemの詳細設計の遅れにより、詳細設計のインプット情報となるメーか設計に遅れが出ています。よってスケジュールを守るためにはA systemのメーカ設計を急がせ、その後のA systemの詳細設計を急がせ5月のA systemの詳細設計を予定通りに完了させるべく勧告する必要があることが判断できます。
 このようにすることによって現状分析し、そして将来を予測し、勧告を出すことがスケジュールコントローラの役目です。さらに勧告内容として遅れている作業単位がクリティカルパス(Critical Path)上のものであればその勧告度合も厳しいものとなります。
 なお、上記の進捗状況の方法は一例であり、例えば予定スケジュール線表を点線とし完了したものを実線で示したり、または色分けで進捗度合を区別するなどの種々の方法があります。

2 ) プログレスメジャメントによる方法
 本方法はすでに前で述べた通りで個々の詳細な作業単位の積み重ねの結果で作成するもので個々の作業単位の具体的進捗把握は図22-1のスケジュール線表による方法に依存せざるを得ません。よって、本方法は月単位の進捗結果がどのような経緯を取ってきているか、そして問題がどこに発生していたか、また発生しようとしているかをマネージメントレベルで監視する為の手段として用いられることが多い。
 そのため月次進捗報告書では必ず示されなければならない報告内容です。
図22-2 プログレスメジャメントの例

図22-2 プログレスメジャメントの例

 上図22-2の左の図は計画段階でコントロール単位の重みづけを行ってスケジュールに従ってプロットしたカーブであるが、本カーブの作り方は後のプログレスメジャメントにてコストの件を含めて説明します。
 このカーブは12カ月分の進捗度合いをプロットしたもので、このカーブをみると6月ごろまではかなり早い進捗状況であったが、7月になると進捗遅れがでている。
 しかし、このカーブでわかるのはこの程度であるが、実際は図21-1のスケジュール線表との組み合わせで何の作業単位が遅れているかがわかります。そのため、図21-1および21-2の両方の結果を見て原因分析を行い、是正処置するべき内容かどうか判断する。

 以上がスケジュールコントロール具体例であり、この結果が毎月の進捗報告書に問題点を含め示され企業トップおよび顧客に報告されることになる。
 なお、スケジュールコントロールは不断の努力とそれなりのテクニックも必要なことから、以下にその考え方を示すので参考にするとよい。
スタッフとしてのコントローラは“知識”を売り物にするのではなく、“判断”が売り物である。
ネットワーク手法を活用し、あまり細かな論理ネットワークを作るとコンピュータに頼り過ぎになり、ほとんどゴミ箱に直行するような多種類、多数のアウトプットを出しては消耗することになる。
スケジュール上あまり厳しくないところや、作業担当レベルに一任できるところをやたらに詳細にし、作業単位数を増やさないようにする。
例外管理を心掛けること
すなわち、スケジュール上厳しくそして問題のありそうな部分を集中的に、そして合理的に徹底監視する。
スケジュールコントローラが配員されると、全てスケジュールに係わることは彼らによって行われるのかのような幻想を抱く人も多い。コントロールはプロジェクト関係者全員の仕事であり、その中心にいるのがコントローラである。この事のPRは良くしておく必要がある。
スケジュールの徹底はただ単に会議や書類で伝達するだけでなく、その通り実施されているかどうかをたどる不断の努力が必要である。
タイミングの良い指示が必要である。
常にタイミングの良い目標が指示され
何が重点となる動きとなるかがわかるような指示でなければならない。
問題発生前に問題発生となる源をつぶすことが肝心である。
スケジュールの後半になる程できるだけ多くのフロート(余裕)を与える。
特に海外プロジェクトは思いもよらないことがいろいろ起きるので、決して初めから無理な工程は立てないこと。

 以上スケジュールコントロールについての概要および具体例について述べてきましたが、実際にはこの職を担当するものは実プロジェクトでの経験をもち、かつ高度なマネージメント能力を持った者でないと一朝一夕にできるものではありません。このためには常にプロジェクトの各作業の流れをシステマティックに関連付けをするという習慣を持ち、かつ各作業の必要期間や機器類であればその納期などに関するデータを蓄積しておき、自分でスケジュールを作成してみるという不断の努力が必要です。

すなわち “習うより慣れろ”です。

 来月号はコストコントロールについての説明に入ります、
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