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「グローバルで通用しているビジネスの常識を学ぼう」 (2)

渡辺 貢成: 5月号

1. 原理・原則・基本には先人の知恵が満載されている
  今月は原理・原則、基本を学びましょう。学ぶためには信じなければなりません。何を信じるのでしょうか。
  学び方の方法を信じることです。
基本を学ぶことが、最も早く目的に達する道であることを信じてください。あなた方はこの道で生活の糧を得るプロです。プロのレベルに達する最短の方法だからです。そしてプロになるための時間は10,000時間だといわれています。
  大枠を理解する(これが大切)
講習会:56Hr+要点の理解→100Hr
ここで得たものを理解し、常時活用すること
  基本を知る最短の方法は資格試験に合格することです
講習会 56時間 +
受験勉強:154H(理解56X2=112H,暗記2週間X3/日=42H)
  ここを省略するとプロになるのに2倍の時間を必要とするか、プロになれないかも知れない。

2. PMの3原則
  1 ) 3つの原則とは
  成果物をつくるマネジメント:システムズエンジニアリング
  プロジェクトを効率よく運営するPM:プロジェクトのQCD(品質・コスト・スケジュール)を管理するPM(PMBOK、P2Mの目標マネジメント)
  プロジェクト関係者を取りまとめていくマネジメント:ヒューマンウェア・マネジメント(人間系PM)

仕事のできる(プロフェッショナル)人は皆基本に忠実です。基本には成功するための仕組みが入っています。仕組みには手順(プロセス)が書かれています。そのため最もわかりやすく、容易に、確実に成功に導くことができます。しかし、手抜きをすると目標に到達しないことは確実です。

  2 ) 成果物をつくるマネジメント
  2-1) 概念の構築
システムズエンジニアリングです。これは宇宙開発で発展したエンジニアリングです。未知のものから新しいシステムをつくり上げるための手法を開発したもので、発想、手順、ツールが手際よく書かれています。P2Mで云えば図1の中のスキームモデルです。ここで重要なのが構想計画で、まずは概念の構築です。大きな枠組みをつくることです。
図1 プログラムとシステムズマネジメント
では何故概念をつくることから出発するのでしょうか。日本人は仕事が好きでたくさん仕事をすることを勤勉と考えていますが、できるだけ仕事をしないことが勤勉なのです(残業をしない人が勤勉なのです)。私達は常に制約条件の中で仕事をしています。時間、金、人等の制約があります。そこで少ない金、時間、人数で仕事をする人が最も信頼されます。 概念をつくるとは大きな枠組みをつくり、大きく仕事をする範囲を限定します。範囲が少なくて目的が達成できれば最も競争力があることになります。

概念が固まると、その概念に肉付けすることになります。これからの手順はP2Mでは「ミッション・プロファイリング」という自分たちがやるべき使命・目的・目標を定め、現時点から目標値に到達するまでのシナリオをつくる作業をします。

  2-2) 構想計画
ミッション・プロファイリングが終わると企業戦略をベースにプログラムの戦略を考えます。競合者に勝つためです。このプログラムの投資のためのリスクを考え、リスクと収益を比較し、収益(価値)がリスクを上回れば投資はゴーとなります。次に社会変動によるリスクを吸収する対策をおこない、投資評価をし、複数のケースを想定したFS(フィージビリティ・スタディ)を行って構想計画は完了します。

 では、皆さん構想計画をつくらないでプロジェクトを進めると何が待ち受けていることになるでしょうか考えてください。
図2 プロジェクトを成功させる仕組み
図2はプログラムのスキームモデルからシステム・モデルまでの経緯を示しています。構想計画を行わないと、システム構築に際し、どのような概念でこのプログラムが創られるのかわからず、原点に戻って考える必要が出てきます。そこで変更がおおくなり、納期の遅延、変更による経費の増加で予算超過、納期遅れを起こす可能性があります。この図は構想計画を正しく行うとプログラムの成功は80%確保されたことを示しています(NASAの実績)。また、変更も極端に少なくなり、成功に前進できます。

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