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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~つながる力~

井上 多恵子 [プロフィール] :5月号

 3.11の震災で、最初に連絡が取れたのが、実家の父親だった。安否を気遣って送ったメールに、父親から「無事」との返事が届いた。その次は、イギリスに住む姉だった。震災発生から30分後に、私のスマートフォンにスカイプでコンタクトがあった。すぐ隣にいるかのごとく聞こえた声。不安な気持ちでいた時だったからこそ、姉と話しができたことで、気持ちが落ち着いた。飛行機で飛べば何時間もかかる遠い場所だけれど、そんな距離を全く感じさせないぐらい、世界との距離は縮まっている。
 FACEBOOKをやり始めるようになって、ますますそう思うようになった。FACEBOOKは実名登録をすることがベースなので、知人を検索するのに適している。ただし、子供の頃の友人でその後連絡が途絶えてしまった人だと、検索にあたっては、それなりのハードルがある。世の中には同姓同名の人はたくさんいるし、女性の場合、結婚すると名前が変わることが一般的だ。子供の頃とは似つかぬほど顔や雰囲気が変わってしまい、その人かどうか確信が持てないことも多い。アメリカに住んでいた頃の友人を探してみたいと思ったこともあったが、そんな理由から諦めていた。
 そんな時、日本の高校時代のクラスメートが、同じ年に卒業した人たちのグループをFACEBOOKで作ってくれた。そのことがきっかけで、「ひょっとしたら同じようなグループが作られているかもしれない」との思いで、在学したアメリカの高校を検索してみた。私は1年だけ通って日本に帰国したのだが、仮に卒業までいたと仮定して、卒業した時の年と高校の名前を入れてみた。すると、見つかった!100名近い人が登録していて、しかもこの秋、大同窓会を開催すると書いてある。一人ひとりの顔写真を見ていくと、懐かしい顔をいくつか発見。その中で仲良かった一人、Paigeに連絡してみた。「最初英語ができずに苦労した際、発音を教えてくれたね。よく家にも遊びに行ったけれど、覚えている?」そしたら、即返事が返ってきた。「もう少しで気絶するぐらい、びっくりしたよ。両親にもすぐ電話をして連絡したよ。一緒に折り紙で遊んだことをよく覚えている。Jamieにも連絡しておいたよ。大同窓会で会えるといいね」 高校時代の思い出が、何十年ぶりに、一気によみがえってきた。
 イギリスに住む姪とも「友達」になっている。高校三年生の彼女はFACEBOOKをフルに活用していて、私の父親と私が書いた本のビジネスページを作成してくれた関係で、「友達」になったのだ。彼女のコメントや写真を見ていると、今のイギリスの高校生の生活ぶりや関心がよくわかる。これまではたまに、親から写真を見せてもらう程度で、「久しぶりに見ない間に大きくなったな」と思っていたけれど、FACEBOOKによって成長を身近に見ることができるようになった。
 知人以外の人とも「つながる」ことができるのが、SNSの魅力だ。「井上さん、自分のメディアを持てば、強いですよ。自分で好きなように、どんどん発信できるなんて、素晴らしいと思いませんか」今日、会った知人に言われた。確かにそうだ。ここ数カ月、次の本の企画に対する出版社からのいい返事を待ち続けていた。帰宅して、編集担当者からのメールが届いていないか、わくわくしながらメールを立ち上げ、届かないたびにがっかりしてきた。でも、今の時代、コンタクトを「待つ」だけでなく、自ら「行動し、世の中に発信する」ことが容易にできる。出版社からのオファーを待ちつつも、自分でできることはやっていこう、そういう気持ちに今なっている。
 取っ掛かりして、FACEBOOKでレジュメプロのページを開設し、有益な情報を発信していこうと考えている。FACEBOOKに情報を掲載することなら、ウエブの作成方法を知らない私でも十分できる。「何を発信しようか」そう思いながらまわりを見ると、また、見えてくる世界が違ってくるだろう。そうやって、「つながる力」を強化していけば、また、新しいチャンスにも巡り合えるはず。その前に現在地を確認するために、今の私の仕事上のつながりを図にしてみた。こう描いてみると、PMAJとの出会いがいろんなつながりをもたらしてくれていることに改めて気付く。もう1枚図を用意した。皆さんもぜひ、ご自分がどんな人たちとつながっているか、この図を参考に描いてみることをお勧めする。意外なつながりに気付いたり、新しいつながりを築くヒントが得られたりするかもしれない。
 ここまで書き終わってメールを見たら、LinkedIn というビジネス系のSNSから、更新情報が届いていた。LinkedIn でつながっている知人たちが、最近どんな人と新たにつながったのかを知らせるメール。新たなつながりが日々起きている。

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