今月のひとこと
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春山は笑うが如く

オンライン編集長 岩下 幸功 [プロフィール] :5月号

 『臥遊録』という中国の漢詩集に、「春山は笑うが如く(春山如笑)」、「夏山は滴(したた)るが如く(夏山如滴)」、「秋山は装(よそお)うが如く(秋山如粧)」、「冬山は睡(ねむ)るが如く(冬山如睡)」という意味の詩があります。風薫る新緑の良い季節を迎えました。しかし、現実の社会状況は「笑うが如く!」とはいかないようです。

 サブプライムローン問題に端を発した経済の三重苦(需要急減、円高、金融危機)が、日本経済に重くのしかかっています。急激な環境変化の中で、企業はたじろぎ、それぞれの存立基盤の見直しを迫られ、自らを再定義する格闘を続けています。わが社(われわれ)とは何か、わが社(われわれ)はどうあるべきか、何をめざすべきか。自分らしさとは何か。わが社(われわれ)は甦るのか。甦るとすれば、どのように生まれ変わるのか。真実のわが社(われわれ)はどこにあるのか。誰が担っているのか。新しいわが社(われわれ)を創る、新しい人材(自分)はどこにいるのか。その胎動は聞こえているのか・・・。
という根源的なテーマを、組織も個人も、改めて問い直さなければならない時代になりました。画家のポール・ゴーギャンに「われわれはどこから来たのか。われわれは何ものか。われわれはどこへ行くのか。」という言葉がありますが、このような原点回帰の旅は当分続くように思います。

 こうした中にあって、新型インフルエンザのニュースが飛び込んできました。正に不確実で、先の読めない、混迷の時代になったものです。実態も可能性も未だ窺い知ることができませんが、これ以上の大事に至らないよう祈っています。
以上
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