図書紹介
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伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!
(池上彰著、PHP研究所発行、2007年07月17日、1刷6刷、205ページ、800円+税)

デニマルさん:11月号

この本の著者は、NHK「週刊こどもニュース」のお父さん役で出演されていた人である。と言っても役者ではなく報道記者で、この番組を最後にHNKを定年退職され、現在フリーのジャーナリストとして活躍している。「週刊こどもニュース」は、現在でも放映されていて、子ども向けに制作されているが、むしろ大人の人の方が見ているという視聴者分析がある。今回紹介の本は、その著者が先の番組を作る過程で苦労されたことをまとめたものである。世の中の出来事を、限られた時間で子どもたちに「分かり易く」伝えることに腐心された。それがこの本の題名となっている。副題にもある通り「伝える」ことは、話すこと、書くこと、聞くこと全てを含んだ相互のコミュニケーションである。そこで肝心なことは、伝える側の心構えである。聞く人の立場にたって考えて、調べて「分かり易く」伝えることである。そのために何をしなければならないかをビジネスパースン向けに書いている。

伝える力(入門編)   ―― 伝える力とは ――
伝える手段は、話したり書いたり写したり演じたりと色々ある。ここではビジネマン向けの本なので、話すことと書くことを中心に書いている。そのポイントは、伝えるべきことが明確になっているかである。5W1H(何を、誰に、いつ、如何に等々)を心掛けて身に付けていないと、上手く相手に伝えることが出来ない。そのために普段から上質のインプット(小説・新聞のコラム欄等を読み、講演会等で話を聞く)をする必要があると書いている。

伝える力(中級編)  ―― 円滑にコミュニケーションする ――
どんなに自分だけが伝える力を訓練しても、相手が理解や関心も持って聞いてくれなければコミュニケーションは成立しない。その次なるポイントは、「その言葉に、愛情があるか」である。これは相手を思いやる言葉=心ではないかと思う。単なる思いつきでなく、相手の立場や状況を考えて話しをする。言葉には何故、葉が付いているか。それは口から直ぐに出さないで葉っぱに包んで出すためと言われている。この精神は、相手を慮る心である。

伝える力(上級編)  ―― 難しいことをやさしく伝える ――
伝えることで一番大事なことは、難しいことや分かりづいことを子どもでも理解できるように、「分かり易く」説明することである。そのためには、先ず自分自身がシッカリ理解することで、次にどの範囲まで説明するかを掌握する必要があると書いている。これは先の5W1Hの(誰に、如何に)である。この点、著者も相当苦労したようである。最終的には、聞き手の反応を見ながら試行錯誤して、話を組み立てる努力が必要であると纏めている。

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